イスラマバードの私が泊まっているゲストハウスの本棚にこの本はあった。督永さんが二冊までは本を出したことは知っていたが、この本のことは知らなかったのでさっそく読んでみた。
これは2005年10月に発生したパキスタン・大地震の被害者に対する督永チームの支援活動の記録である。本人もこの本の中で言っているように、誰に頼まれたのでもないが自分の父親が言った、「人助けができるようになって一人前」を心の糧としてただひたすらに被災者を支援する様子が、相変わらず元気一杯に(時々は脱線して読む者の微苦笑を誘いながら)、しかし哀愁と情緒豊かな人間味を込めて描かれている。避難民の子供たちを連れて公園へ遠足に行ったときの記述や、春になって避難民が地元の山岳地帯に戻るとき、「ジャパニーズ、ジンダバード(日本人万歳)」と感謝の言葉を叫びながら去って行くときの描写には思わず涙が出た。
中でも感心したのは、誰の力も借りずに自分たちだけの構想でイスラマバードに難民支援のキャンプを作ってそれを完璧な管理の下で運営したことである。少人数の避難民だったからできたこと、と本人は謙遜するが、それはそうだったとしても、よいと思えば実施するその「行動力」と「意志の強さ」と「機を見るに敏な頭の回転の速さ」には心底感心し、一社会人として見習うものがある。
この難民キャンプの成功は、しっかり者のケイコさんを初め各々のスタッフによる避難民に対する細かな心配りがあってこそのものではあるが、なんと言っても督永さんのぶれない方針と強い指導力のなせる業だと思う。一方、その支援活動で留守になった仕事を陰で支えてくれている息子・ツヨシや、娘・アコちゃん(女医)などとの連携があってこその成功だろうと(これは本人もつくづく述懐しているが)、改めて思ったものである。
この本を読んだおかげで督永さんに会いたくなったものだ。今日当たり行ってみるか。