作中世界では20年ほど前から世界中で「能力を授かった人」が出始めたという設定。その能力はギフトと呼ばれています。
ただし作中で「あさっての方向を向いた能力ばかり」とある様に、微妙というか、なんというか。
・有効距離が1メートルしかない念力
・有効距離10メートルだが対象を叩くことしか出来ず、威力は小学生程度の念力
・球体以外はどんな物体も1ミリも動かせない念力
etc.
また研究の末にいわゆる「霊感」や「憑き物付き」もギフトの一種であるとされています。
主人公・汐正幸(うしお まさゆき:高校1年)は、小学生の時にパンツブレイカーという前代未聞のギフトを授かってしまう。
半径2メートル以内のパンツ(及び類似の物)は閃光と共に消滅してしまう。もちろん本人の物も含めて。
対象は老若男女を問わず、自分の意思でコントロールも出来ない。
そうなるとまともな生活は出来ません。
パンツを消された人達の中には、正幸を変質者と決めつけ人格を全否定する人も出て来る。
正幸は学校はおろか買い物にも行けない。家族は家ではパンツを穿けない。
あやしげな宗教団体に誘拐されて洗脳されそうになったり、その団体の圧力で父親の会社が倒産したり、あとは一家離散か一家心中かという所で政府のエージェントがやってきた。
正幸の様に、特殊な事情でまともな生活が出来ない子供を保護する全寮制の学校があるというのだ。
そして正幸は妹の美幸(みゆき)と二人で、孤島に作られた国立醍醐学園に転校してくる。
同じクラスの姿影那(すがた えな)は飛び級で海外の大学を卒業済みで、日本におけるギフト研究の第一人者。
影那の検査が進むと、正幸のパンツブレイカーは(その現象の珍妙さとは別に)ギフトとして非常に希有な種類で、制御の方法があるかもしれないと分かってくる。
だが影那によって解散させられた悪徳宗教団体(ギフト保持者を集めて洗脳したりしていた)の元幹部たちが彼女を逆恨みし、学園に潜入して彼女を捕えてしまった。正幸も一緒にいたので拘束され、影那は彼の眼前でひどいことをされそうに。
正幸は影那の研究からヒントをつかみ、自分の意思でパンツブレイカーを発動しようとするが・・・
パンツブレイカーという能力の設定だけでもかなりブッ飛んだ発想ですが、クライマックスでそれが『進化』した内容は
「なんでそうなる!」と「まあ、そうなるだろうな・・・」という二重の矛盾した感想を持ちました。
妹の美幸はギフトを持っていませんが、ずっと兄の正幸を献身的に世話し続けて来ました。
(結果的に)兄を捨てた両親に反発して「世話役」として醍醐学園に一緒に転校。
(お弁当なり何かを届けに来ると、2mより外で一度パンツを脱いでから範囲内へ。用事が済むと範囲外に置いてあったパンツを穿いて自分の教室へ行く、など)
クラス委員長の松葉瞳(まつば ひとみ)は、正幸がそのギフトゆえに授業をさぼりがちなのを(お節介にも)授業に出させようとしてはパンツを消される連続記録更新中。
『幕間』では彼女が下着のオシャレについて並々ならぬこだわりを持つことと(だからパンツ消されるのは願い下げなのに)、それ以上に委員長としての使命感の高さが分かりますが、ルームメイトからは「なんてめんどい子だ・・・」と呆れられてます。
クラスメイトのサンダー・エリカ・丸山はジャングルで生活していた野生児。パンツを消されても全く気にしない。
彼女はギフトのおかげで普段でもビルの外壁を屋上まで駆け上がってきたりと常人以上の身体能力を持つが、命の危険に陥ったりすると人格が交代?し、人狼ならぬ狼少女に変身して理性を無くして暴れ回る。
作者後書きによると、続きが出たら彼女達にも見せ場が回ってくるらしいですが、続刊が楽しみな様な怖い様な。
もう苦笑するしかありません。
2012/04/13追記/続巻が出るようです。
パンツブレイカーG (一迅社文庫)