二十年ぶりに読んだ。その視点は今なお新鮮である。
著者は主にポランニー兄弟に依拠して、人間の活動を「パンツ」と名付ける。パンツとは言い換えれば文化の総称である。そして人間は「本能の壊れた動物」(岸田秀)であり、本能に基づいて行動するかわりに、快感原則に基づき行動する。そしてパンツを脱ぐ、すなわち文化という共同幻想を蕩尽することが生の目的だ、と言い換えた場合、それはほとんど吉本隆明から岸田秀に受け継がれた「唯幻論」に酷似する。
しかし、原著を読んだ時には気付かなかったのは、著者にせよ岸田にせよ、日本の中で数少ない魅力的かつ独創的な理論を打ち立てたひとびとは、みな政治的には保守であり、マルクスに対する反感を隠さないことだ。理論が革新的であっても政治的に左派であるとは限らないというのが面白いと思う。もちろん、最近は左派リベラリストの方が教条的である傾向があるが。
新版になって付け加わった部分としては、著者の脳梗塞体験についてのリハビリの模様が述懐してあるところがある。この「身体の声を聴く」というのは、最近流行の鷲田清一や内田樹の身体論とも通じていて興味深い。また、ビートルズやデリダを「あれは政治である」と断言しているところも注目される。イイタイコトハヨクワカル・・
結論だが、まだこの本に触れたことがない方は是非一読して頂きたい。子供から大人まで十分得るところがある本である。