30年以上前の作品なのに、これだけ沢山のレビューが書かれている。
それが全てを表しています。恐らく100年後まで残る作品でしょう。
日本がパンダブームに沸いた70年代、それをあてこんで企画された
小品ですが、それがとんでもない傑作に化けてしまったのは、宮崎
・高畑両氏をはじめ、日本を代表するスタッフの力量でしょう。
特に作画・美術が素晴らしい。大塚康生、小田部羊一など超豪華な
作画陣が、実にのびのびとキャラクターに「芝居」をさせており、
主役のミミ子などは、実写の子役では不可能な水準の「演技」を
可能にしています。これぞアニメーションの醍醐味でしょう。
冒頭の、駅でミミ子が祖母と別れるシーンで、駅名が「北秋津」と
あったので、風景のモデルは多摩地区なのかもしれませんが、景色
や色彩に若干の西洋風味が加えられており、泥臭さを感じさせない、
適度にファンタジックな美術がいい感じです。
キャラクターの可愛らしさなどは、近頃の「萌え系」と比較しても
全く劣りません。シンプルな描線ですが、表情が活き活きしていて、
もう何とも言えず魅力的です。手塚漫画に近い、丸っこい感じです。
内容については、敢えて語りません。この楽しさを言葉で説明する
のは難しい。子供の頭の中を覗いたような、イノセントでナンセン
スな、それでいて生活臭に満ちている、どこか「ズレている」とこ
ろが素晴らしい。こんなものを作れる大人が居るなんて驚きです。
岡田斗司夫風に言えば、子供を「大人になりきれない半人前の存在」
と見なす西洋文化に対して、子供を「ありのままの自然人、無垢で
神様に近い存在」と見なす日本文化だからこそ、生まれ得た作品で
はないかと思います。
最後に、ぜひ「BSアニメ夜話」で取り上げて頂きたい作品です!