こういったドキュメント物の「良く出来た典型」ともいえる良作。
とにかくオリジナルパンクス総登場といった感のあるミュージシャン勢
にとどまらず、初期テレヴィジョンを「20回も観に行った」と自慢気な
ジム・ジャームッシュ、CBGBオーナー、ミニコミ編集者など多彩な視点
が事実を詳細に伝えてくれる。
なにより一番感動したのはパンク後のシーンもきっちりフォローしてる
事。後半はオルタナティヴムーヴメントを経てグリーンデイ、サム41、
リンプビズキット等に代表される商業パンクにかなり辛辣な作りになっ
ており、パンクが生み出した「良い面も悪い面も全部見てくれ!」と
いう制作者の真っ正直な意図と真摯な姿勢が伝わってくる。
他にも貴重なポップグループ、コントーションズや、スリッツなどの
映像、ファッション、女性アーティストにスポットを当てた丁寧な
DISC2など資料が満載。
また、どの記録モノでもやたら神格化され、未だにお涙頂戴な扱いを
受けているカートコバーンに対しても実にあっさりとした触れ方で、
そういった点でもこのドキュメンタリーが公平に「文化としてのパン
ク」を捉えようとしているのが個人的にとても心に響いた。
それにしてもXレイスペックスのポーリーやマガジンのハワード、
MC5のウェイン、ジェームスチャンスなどの現在の姿はマニアックな
ファンには嬉しい限り。
ボリューム(3時間30分!)、デティールだけを考えてもこれ以降、
パンクモノのドキュメントはもう誰も作れないだろう、と思える程の
充実した記録映画だと思った。