いよいよこの「西のはての年代記」シリーズ最終巻です。
第一巻は「北」、第二巻は「南」、そして第三巻は中央の都市国家を扱っています。
主人公は、ガヴィアと言う少年です。
(カスプロ、グライ、メマー、そしてシタールが最後に登場します。)
ガヴィアは水郷地帯の出身者ですが、都市国家エトラの少年奴隷で、一緒に連れてこられた姉サロと暮らしています。
ところが、サロが殺害されるという事件があって、ガヴィアは逃亡します。
その後、自由独立を旗印にしている<森の心臓>に住み、そこから出生地水郷地帯に向かいます。
その後、<ヴィジョン>に導かれてメサン(ウルディーレ)に向かいます。
このガヴィアの物語は、冒険小説として一気に読み切れる楽しさがあります。
この三巻を通して、様々な奴隷制度の形態が示されます。最期の地ウルディーレは、そうした奴隷制度のない自由の国として描かれています。
今回のガヴィアは、当初温かい家族的な雰囲気の中で、その奴隷制度に何の疑問も持っていません。彼は、放浪する中で、「自由」の意味を徐々に理解して行きます。
それと同時に、<森の心臓>でのように、立前は「自由」を御旗に掲げていながら、権力で人々を奴隷のように扱っている状況も描いています。
現代社会においても、奴隷制度そのものはないものの、格差の大きな社会になりつつあり、支配・被支配の問題は、生きていると言う事に対する問題提起のように感じられました。