ミシガン湖の湖畔で、ピクニックに来た人が昼寝をしている。そのごくありふれた世界をスケールの中心(10の0乗メートルつまり1メートルの世界)として、一方ではどんどんそこから遠ざかっていき、10の25乗メートル(約10億光年離れたところ)の世界までたどりつく。また一方ではどんどんその人を拡大していき、10のマイナス16乗メートル(0.1フェルミというらしい)の世界まで行きつく。
ページをめくるたびに次の10分の1(または10倍)の世界があるわけだ。それぞれの世界が1見開きになっていて、右ページにはそのイメージ写真、左ページにはそれぞれのスケールに特有な事柄の科学的解説がある。解説もどれも興味わくものばかりだけれど、でも理科が苦手な方なら、右ページの拡大縮小の写真を行ったり来たりするするだけでも読む価値はある。スケールを拡大・縮小するとはどういうことか、実際の距離感覚はどんなものか、といったことが目に見えてわかる。
たとえば、分子が見え始めてから(10のマイナス7乗メートルの世界)、原子核をゲンコツ大にと捉える(10のマイナス14乗メートルの世界)までには、1千万倍のステップがあるわけだ。こんなにも原子とは広範なものなのかと驚く。また、最近よく耳にするようになったナノテクノロジーの舞台がどれだけ、われわれのありふれたメートルの世界から離れているのか、といったこともよくわかる。
企画の勝利だ。もともとは、家具で有名なかのイームズ氏がつくった同名の科学映画がオリジナルだという。企画の勝利に、解説の丁寧さが加わり、鬼に金棒のとても質の高い作品になった。できるなら、科学の進歩にともなう改訂版も読んでみたい。