前ヴォーカルが脱退、新ヴォーカル加入後初のアルバムにしてメジャー1stアルバム。
シングル3曲、カップリング1曲、「マストバイ」より新録された「狼」「コピペ」収録の全13曲。
1stアルバムにしてベスト盤、さらに初回限定盤はDVD付きでメジャーデビューしてからの
PV、新ヴォーカル鴇崎加入後のライヴダイジェスト、それに対するバンドメンバーのコメントとなっており、
これを聴いて見れば今のシリアルが分かる、という親切設計。
女性コーラスも軽快な真夏のラブソング「ティリラ・ティリラ」に始まり、アニメ「銀魂」のオープニングで
一気に知名度を上げた、和洋折衷な「桃源郷エイリアン」、トツ(鴇崎)のひねりをきかせた表情を変える歌唱が印象的な
「シティボーイの憂鬱」、歌い上げ系の壮大なバラード「SWEET HOME」、もはや演歌の域にまで達した、こぶしをきかせまくった
「アナログ革命」。サウンドはハードロックで、「ロックよりもアニメ好き」と歌い、ロックレジェンドにまつわるワードが並ぶ。
途中のトツのギターと張り合うようなシャウトに驚き。
うって変わってトツが初参加したシングル「ユニコーンの角」。トツのハイトーンボイスのさわやかな歌声で、
シリアルの持ち味である、クイーン風の大仰なコーラスが鳴り響く。
ターンテーブルのスクラッチ音が入ったり、ヒップホップ調になるもサウンドはハードロックな「Overslept Kills The Day Feat.OKD」。
OKDというのはドラマーの岡田翔太郎のことで作詞、ラップするのが彼か。ちゃんとヒップホップ調になっている。
新録の「狼」、「コピペ」と挑戦的な歌詞をパワフルにトツが歌いあげる。
「桃源郷エイリアン」カップリング曲「LEMON」のような押さえた声で始まる「英雄」。
孤独なヒーローの苦悩を吐露するバラードかと思いきや、サビで力強くなり目覚めたかのような
堂々とした歌唱と演奏に。歌詞も歌い方もユーモラスに。
まさかのWinkカバー「愛が止まらない」。ギターの新井君がWinkの大ファンってあんたいくつだ、と思ったが、
大学時代昔の歌謡曲を数多く聴いたそうで。原曲は(って私もいくつだ)女性デュオによる涼しげなテクノだが、
シリアルバージョンはバンドサウンドのジリジリした情熱的な仕上がりになっている。
シングルのカップリングで同様の曲が披露されていた、コーラスつきのインスト曲「PARTY ROCK ANTHEM」。
ライヴで客との掛け合いを想定した踊れるギターロック。
全体的にバラードが少なく、ハイテンションなパーティーチューンぞろいかと思いきや、最後に持ってくるのが
「バラード」。能天気なバンドと思わせておいて「つぶやく様な声じゃ 届かないだろう」「今思う事を叫ぼう」と
今への語りかけを入れ込むのがニクい。
「桃源郷エイリアン」以降顕著な和洋折衷なギターロックで、執拗なまでにギターを弾きまくっている。
最大の見せ場は「アナログ革命」と「Overslept Kills The Day Feat.OKD」だと思うのだが、笑えるレベルにまで達していて、
なんちゃってというよりも本気で笑いを取りにいっている。
シングル曲が中心になっていないのもすごい。
以下余談。
このバンドは以前二度イベントで見たことがあって、いずれも前ヴォーカル伊藤のシリアルだった。
男の子らしいバンドというか、あおり担当、合唱担当、宣伝担当と役割分担がなされており、演奏がパワフルで
「大阪サイコー」とピンクのTシャツ姿で叫んでいた、リーダー新井君の姿が今でも思い出される。
ヴォーカルは歌に専念しており、内向的(そうに見える)彼に「?」と感じた。
余計な心配だが、パワーのある明るいヴォーカルの方が合うんじゃないかと思ったのだった。
それから一年後、シリアルがメジャーデビューしたことを雑誌で知った。
数ヶ月後ヴォーカルが脱退、新ヴォーカルが加入したことをまたも雑誌で知り、あんぐりしたものだった。
外国のバンドだとヴォーカルの脱退や新加入は時々聞くが、メロディー重視でヴォーカルはバンドの看板、という見方が強い
日本ではヴォーカルが変わることは違うバンドになるぐらいの大変化で、メンバーは焦りと不安で必死だったに違いない。
作曲はすべてリーダーでありギターの新井君が手がけているので、以前は新井君が作曲してギター弾いていればシリアル、という
見方もあったと思う。
しかし、このアルバムで今やトツはシリアルにかかせないヴォーカルで、彼の声が楽曲のポテンシャルをも開花させたと
言っても過言ではないと思った。