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川上弘美さんの使う「あたたかみ」という言葉が紡ぎ出す情景に浸ることは素敵なことでした。今は亡きセンセイと、ツキコさんの幸せだった生活の一部を
垣間見ることが出来たようでなんだかホッとしました。
「あとがき」には、私たち読者と近い川上さんのこの作品への思いが表現されています。
初めの二人のやりとりは、のほほんとした気分で読めたけど、
ツキコさんの小さかった頃の話は、天狗が絡んでいるとはいえ
女の子独特のどろどろとした世界を描いていて
ちょろっと現実に引き戻されました。
とはいえ、やはり川上ワールドのお話だったんですが・・。
なんだか、川上さんの「神様」の本に載っていた人魚の話を思い出しました。
私は好きです。
「センセイの鞄」以前、以後で変わってしまいました。すごい幸福感ととてつもない寂しさを抱えてツキコさんはどうしているのだろうか。そして二人は一緒にいるときはどんな時間を過ごしていたのだろうか。感情のスイッチを切る決心をすること。それを見守ること。大好きな人に子供の頃ずっと心に引っかていた話をきいてもらうこと。おいしいものをたくさん食べておなかがくちくなって昼寝すること。この薄い本の中に欲しかったものがみんな入っていました。
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