本書は3つの宗教の聖地を抱えるエルサレムを舞台にしたパレスチナ紛争について、イスラエル、パレスチナ、それにアメリカ、その他の国際社会がどのように対処してきたかといった歴史的経緯を中心に描いています。
本書の構成としては、第1章では、第2次世界大戦前の英国支配から第4次中東戦争までの歴史を簡単に述べています。第2章では、第1次インテリファーダとハマスがどのように誕生したのか、第3章では、そのインテリファーダが湾岸戦争の際のPLOの政策に与えた影響とその後の国際政治の力学がオスロ合意へと導いたことについて描いています。また、第4章ではクリントン大統領・バラク首相・アラファト議長の3者によるキャンプデービットでの交渉(2000年)と第2次インテリファーダの発生について、第5章ではその第2次インテリファーダがどのようのものであったかについてジャーナリスティックに記述しています。第6章では、アラファトが第2次インテリファーダを交渉で利用しようとしたがコントロールできなくなってしまい、交渉のカードとして利用できなくなっていった過程、第7章では、その第2次インテリファーダに対するイスラエル国家の対応の背景が描かれています。そして最後に第8章では、現在のブッシュ政権のパレスチナ問題への対応の問題点が描かれ、これからパレスチナ紛争はどのような落としどころをみつけていくのかということが書かれて本書は終わります。
本書の特徴は、筆者がジャーナリストということです。したがって、民衆蜂起やアラファトへのインタビューの記述や、オスロ合意やキャンプデービット交渉について状況を刻々と蘇らせていることは、読者の興味をひきつけると思います。インテリファーダに代表されるように民衆レベルまで対立の構造が浸透してしまいそれが解決を困難にしている状況、第2次世界大戦後イスラエルは国家としての正統性を着々と蓄積してきたが一方パレスチナはそれができなかったことなど、パレスチナ紛争が以下に解決が難しいかということもわかってきます。