「パレスチナ問題もレバノン内戦も湾岸戦争も、ヨーロッパの大国が支配圏をはっきりさせようと国境線を引いたことに由来する」との見方から、第1次世界大戦以降のパレスチナ現代史に焦点を当てる。第1次大戦後、パレスチナを支配した英国が、あえて内部に撹乱要因を作ろうとユダヤ人の入植を支援したこと、第2次世界大戦後、ナチスによるユダヤ人虐殺が明らかになるにつれ、パレスチナのユダヤ人が力を増したこと、抵抗勢力としてパレスチナ解放機構(PLO)が台頭したことなどを簡潔にまとめる。
歴史や国際情勢の動きを追うだけでは理解しきれないとして、「ユダヤ人」「パレスチナ人」という基本的な視点からもパレスチナ問題を考察する。パレスチナは常に複雑な国際関係の中で翻弄されてきた。自爆テロが相次ぐなど再び戦争状態にある今、改めてパレスチナ問題の根幹を理解するのに役立つ1冊である。
(日経ビジネス 2002/06/17 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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特に82年のベイルートでのパレスチナ難民キャンプでの虐殺は、
読んでいて、胸がムカムカする程でした。
しかし、パレスチナ側を賛美するだけのものでもありません。
パレスチナ暫定自治政府内の高官達は、豪邸に住み、親族で経済的
利権を貪っているという面をもきちんと描いています。
パレスチナは弱いものの最後の手段による抵抗を試みる。イスラエ
ルはこれを「テロ」として非難し、武力による合法的な(?)殺人を行う。
この泥沼の連鎖を断ち切るすべはないものか?
最近のイスラエルでは、若者が軍務に就くことを拒否することで、
この連鎖を断つきっかけになろうとしている。そんなやさき、イスラ
エルは、パレスチナ人を排除するための「壁」を作りはじめた。さら
に、すべての「テロ」には武力行使を認める米国が、イスラエルを支
持する。わが国も、米国を支持する路線そのままに、間接的にイスラ
エルの武力行使を認める。まるで、有事立法の後押しにでもするかの
ように。
2001.9.11 の「テロ」後、世界は相手を「テロ」と決め付けること
で、武力行使を正当化する論理を手に入れてしまった。かつて、ナチ
スが、すべての軍事行動を「平和のため」と言っていたのを思い出す。
私たち日本人は、この問題の背景をあまりにも知らない。しかし、
その歴史を丹念に追えば、問題の原因は容易に理解できるはずである。
本書の「旧版」で私はそのことを学んだ。また、同じ著者の『中東
共存への道』では湾岸戦争についてメディアが伝える「嘘」を知った。
著者は、自らの足で現地を歩き、自らの目で見たものを伝える。
日本人は中東問題を知らない、と書いた。そして、米国や日本政府
の言うことをそのまま受け入れている。そんな日本人が、本書を通じ
て、この問題を理解して「自分の意見」を持つきっかけになっ
てくれれば、と切に願う。
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