原題の"pulp fiction"は、もともと「下品な書きもの」(典型的にはタブロイド)を指す言葉。だから、もちろんほめ言葉では全然ないです。
この言葉をタイトルに持ってきた通り、これは上品な映画ではありません。殺し屋が聖書の文句を唱えるシーンだけがちょっと高尚に見えるけど、後は、やたら銃でバンバン人を殺したり、ホモセクシャルのレイプ(…まあ、「カマを掘る」ということ)が描かれてたり。台詞は、すごいスラングがいっぱいで、"f*ck"なんてウィキペディアによると250回も出てきてたとか…。ストーリーだって、はっきり言って大したことはないのです。
でも…この映画は、観ててほんとワクワクした。メチャメチャ面白い。
ストーリーが大したことないのに、この作品は監督(およびこの作品では端役としても出演)のタランティーノを世に知らしめたし、アカデミーの脚本賞、カンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞している。そして、実際それだけの魅力がある作品だと断言したい。
この作品の面白さは、コロンブスの卵みたいだけど、時間軸を絶妙に組み替えたことにある。つまり、この映画の進行は、時間軸に沿っていない。時間軸的な結末は映画の半ばにあって、映画のエンディングは時間軸の最後にあるわけではない。ただそれだけの仕掛けで、もー、ほんとにエキサイティングな映画になっちゃうのだ。(こういう仕掛けを効果的に使った映画では、僕はイニャリトゥの『21g』が好きです)
音楽もいい、緊迫感もいい、役者もいい、そして、激しい銃撃を含んだ暴力的なストーリーを無化してしまえるようなユーモアも最高。いかつい二人組のマフィアが、返り血でドロドロに汚れたスーツを、めちゃめちゃダサいTシャツに着替えさせられるシーンとか。(「お前ら、今からバレーボールでもやるのか!?」)
その二人組のマフィアを演じるのは、ジョン・トラボルタと、サミュエル・L・ジャクソン。どっちもすごく良かったけど、特にサミュエル・L ・ジャクソンは素晴らしかったなぁ。