これほどやりたいことが明確なアルバムも珍しいのではないか、と思う。
THE BACK HORN、今年1月のベスト・アルバムから8ヶ月、オリジナルとしては1年4ヶ月ぶりのニュー・アルバム。
その名も「パルス」。日本語だと「衝動」。これほどピッタリと来るタイトルもないと思う。問答無用でガツンとくるアルバム。
一応、「太陽の中の生活」や「THE BACK HORN」の延長線上みたいな部分もある。が、
乱暴にいうと一度その流れをぶっ壊し、新たなバックホーン像を築いた、というのが
このアルバムを聴いて個人的に感じたことだった。
先行シングルの「覚醒」はまっすぐな、男らしい希望を感じさせる曲なのだが
なんかこの曲は少し浮いてる感じすらしてしまう。逆に言うとアクセントになってるのかな。
あるいはこのアルバムに引き込む為のフックだったのか。
「狂気」と「不穏」。以前のバックホーンのトレンドであったこの二つの要素を
久しぶりに復活させている。で、最近の要素も生き残ってるので正に古今を混ぜ合わせたような
昔からのファンにも、そして今のファンにも直で向けられている様な感じがしたのである。
やはりバックホーンは等身大でなく、少しくらい過剰な方が好きだ。
「人間」とか、こういう曲を待ってたんだよ!と素直に思えた。
「さざめくハイウェイ」や「グラディエーター」とか、歌い方は変わったけどこういうのが
本当はバックホーンの王道なんだと思う。聴き手にダイレクトに訴えかける歌とメロディ。
「世界を撃て」や「蛍」などまっすぐに突き刺さる激情ナンバーも多く、
唯一、ミディアムテンポの「鏡」はサビのメロディラインがとても美しい郷愁感な一曲になっている。
「鏡の無い世界じゃきっと僕たちは自分を殺してしまうよ」(鏡)
「首吊り台の上 産まれ生きた日々を愛しく想えるかな?」(人間)
「その目背けないで探し続けてくれ 美しい生き方を 今」(生まれゆく光)
原点回帰というほど戻ったわけでもない。が、このアルバムからは以前のバックホーンと今のバックホーンが同居してる気がして。
一気に駆け抜けるような50分の間、それがとても嬉しかった。 ちなみに50分だが体感時間は30分くらいだった。