たまたま小さな映画館に掛かっているのを見つけて見ました。映画としてはかなり古いものでしたが、今も同じことが行われているでしょう。パンフレットもあったので、映画の後で解説を楽しむことができました。
館長の許しを得て、そのままの姿のルーブルを納めた映画です。美術館なので映画で使われるような明るい照明は使えません。
深夜の美術館で、警備員が巡回するところから始まり、まるで夜中にこそっと探険をする気分でドキドキします。
解説のナレーションは一切ありませんが、そこに働く人たちの台詞から状況を知ることができます。ドキュメンタリーと言われますが、実はわざと足音がするように女性にヒールを履いてもらったり、歩き直してもらうという演出はやっているそうです。
色々な職種の人を取り上げて、しばらくその人を追いかけたり、何度か差し挟んでみたりして、流れを作っています。
館長の所に、美術品を売り込みにくるバイヤーがいたり、
館員の制服を新しく配給するシーンでは、新入社員(?)が自分に合う服がなくて文句を言ってたり、そのまま社員用のフィットネスルームに移動して汗を流していたり、
厨房では千人を超える従業員のために調理をしていたり、社員食堂ではバイキング形式でみなが食事をしていたり、
展示室から秘密っぽい扉を開ける女性を追いながら、暗くて狭い迷路のような通路を通り抜けると、美術品の補修や検査をする近代的な施設が現れたり、
要塞の名残の岩肌や、地下のボイラー室の様子も見られるし、
展示のための額縁を制作する部署や、資料用の写真を撮影する様子、バックストックを整理しながら展示用の作品を探し出すのに苦労していたり、クレーン付きの車で美術品を移動させるのも大変で、
朝の展示室の清掃、消防訓練の様子、反響音を測定するために銃声が響いていたり、
新しい展示をするために話し合っている様子から、展示のコンセプトや作家の話に転じたり、実際の展示の位置や部屋の工事の様子も詳細に映し出していたり、
倉庫に眠る巨大な絵画を数十人がかりで広げたり、掲げたりし、また、補修のための作業などは何度も登場します。本当はこの巨大絵画のお披露目だけを記録するはずだったのに、いつのまにか全ての仕事を写していきます。
絵画をのんびりみるような映画ではありません。とにかく、裏方として働く全ての人が主人公となっている映画です。
ルーブル美術館の裏には展示の量を遙かに超える美術品が保存されています。そんな巨大な美術館の全体像に迫るような映画だと思います。