いずれにしても、もっと高画質なソフトが欲しい。
というのも、小子は高校生時代、本作を丸の内東宝のロードショーで1週間のうちに2回も大枚はたいて見ているのだが、そこまで駆り立てたのは、ストーリーの面白さもさることながら、その幻惑的な映像表現に惹かれまくったからだ。
特に引き込まれるところが、自分と同姓同名の謎の人物ミスター・クラインを追って主人公のアラン・ドロンが汽車にまで乗り込み田舎の屋敷にまでたどり着くまでの一連のエピソードだ。その一人称カメラの不気味さ。夜の駅ホームで汽車の蒸気が汽車のテールランプに赤く照らされて血のように染まる場面の恐怖と恍惚が入り交じった薄気味悪さの味は空前絶後の体験で、あらゆる怪奇映画を超絶した、と当時、感じたほどだ。
小子はこの場面が何度も見たいがために、映画館に通ったのだ。その時の体験から比べれば、その後何年も経ってからソフト化された商品(VHS、LD、東北新社盤DVD、本DVD)には、当時の感慨を蘇らせるほどの画質のものには未だ、お目にかかれていない。
こういう、ある場面だけを「何度も見たい!」という欲求に基づく行動は、個人的にはポランスキーの『マクベス』を大塚名画座で見て以来だった(そうあの魔女の幻想場面でトリップがしたくて、本作がかかる名画座を探しては、何度も通ったものだ)。
従って、ブルーレイがでたら当然、また買う。