1992年に出た『パリ物語-グルメの都市をつくった人々』の文庫化。
パリの町を彩るカフェやブラッスリー。しかし、意外なことにカフェのオーナーの8割はオーヴェルニュ人。ブラッスリーもアルザス人によって経営されている。店員もほとんどがその地方の出身者であるという。つまり、我々が「パリそのもの」だと思っているカフェ・ブラッスリーは、本来はまったくパリのものではないのである。
これはどういうことなのか。玉村氏はさっそくオーヴェルニュを訪れて調査を開始する。フランスの山岳地帯であるオーヴェルニュから、人々がどのようにパリへ流入したか。彼らが「カフェ」という分野で成功できたのはなぜなのか。ブルターニュから運ばれる牡蠣、アルザスから伝えられたブラッスリーについても同様に謎解きがなされる。
その手腕は見事。非常に説得的な内容で頷かされることしきりだった。
ふとした謎から意外な真相をつきとめる。玉村氏の良さが凝縮されたような一冊だった。