■「パリから来た紳士」
1849年4月、フランスから、ニューヨークに住む老婆
の遺産をひきとりに来たフランス人青年の「わたし」。
「わたし」が老婆の家に到着する直前に、老婆は遺産を狙う性悪女から
遺言書を守るべく、不自由な体でそれを部屋のどこかに隠してしまった。
「わたし」が到着すると、老婆は両眼を動かせるだけの状態になっており、
遺言書のありかを尋ねると、寝台の上の兎の玩具と、ドアの側の晴雨計
を見つめるばかりだった。
途方に暮れた「わたし」は、酒場で出会ったフランス語
を解読できる謎の男・パーリーに相談したのだが……。
遺言書のありかを示す手がかりの提示が秀逸。そして、その
趣向と密接にかかわる、パーリー氏の正体には驚かされます。
■「奇蹟を解く男」
結婚の前に、ロンドン観光にやって来たジェニーは、奇怪な出来事に立て続けに遭遇する。
密室状況の彼女の寝室にあるガスの栓がひねられ、さらにその翌日に訪れた
セント・ポール寺院の〈ささやく回廊〉では、「第一回目は失敗したが、二回目は
きっとやりとげてみせる」といった主旨の内容を話す不気味な声を聞いたのだ。
果たして〈奇蹟担当局〉のH・M卿は、これらの謎を解くことができるのか?
ガスの噴き出す音や硫黄マッチという手がかりはよくできていると
思いますが、マッチのほうは、当時のフランス風俗についての知識
がないとわからないというのが難点。