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パラダイス・モーテル (海外文学セレクション)
 
 

パラダイス・モーテル (海外文学セレクション) [単行本]

エリック マコーマック , Eric McCormack , 増田 まもる
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

幼いころ、祖父が死の床で話してくれた奇怪な体験の数数。はたして本当のことなのか。中年となった私は、真実を確かめるために調査を始めるのだが……。虚実の皮膜を突き破る奔放な想像力! めくるめく現代文学!

内容(「BOOK」データベースより)

ある町で、ある外科医が妻を殺し、バラバラにしたその体の一部を四人の子供の体内に埋めこんだ。幼いころ、そんな奇怪な事件の話をしてくれたのは、三十年間の失踪から戻って死の床に伏していた祖父だった。いまわたしは裕福な中年となり、ここパラダイス・モーテルで海を眺めながらうたた寝をしている。ふと、あの四人の子供のその後の運命がどうなったか、調べてみる気になった…虚実の皮膜を切り裂く〈語り=騙り〉の現代文学。

登録情報

  • 単行本: 218ページ
  • 出版社: 東京創元社 (1994/09)
  • ISBN-10: 4488016014
  • ISBN-13: 978-4488016012
  • 発売日: 1994/09
  • 商品の寸法: 19.4 x 13.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 846,345位 (本のベストセラーを見る)
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By hp トップ500レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
カバー裏には「ポストモダン小説史に輝く」とありますが、解説の柴田元幸さんは「ポストモダンというレッテル」にネガティブなコメントをしています。
そもそも「小説史」なんて言えるほどポストモダンの文学が多いのか疑問ですが、少なくとも、この作品をそう呼ぶことは安易なレッテルではないと思います。

幻想文学とはちがう、メタフィクションでもさらさらない。物語の「解体」でもない。
大風呂敷になりそうな設定の物語を、思いの外緻密に構築しては完成前に崩してゆく--こういうのを表現するのに「ポストモダン」はやはり非常に便利で適切な言葉でしょう。

問題は、こう片付けてしまえば読まなくてもいい小説なのかどうかだけで、この作品はなおも読む価値があるものだと思います。
子供が大人になるとき、人生の幻滅を味わうとき、箴言ともいえる印象的な言葉を残すそれぞれのエピソードを、崩さず普通の物語として掘り下げた作品のほうを読みたかった気はしますが、それは読者の理論。作品を貶めるものではありません。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Bo-he-mian トップ500レビュアー
形式:文庫
記憶の端にその作家の名前はあった。確か本を一冊、持っていたはずだがタイトルが思い出せない。だが何よりも自分がそそられたのは、象徴的でうす気味の悪い表紙のイラストと、裏の解説文だった。
「一家の四人の兄妹は、医者である父親に殺された母親の体の一部を、父親自身の手でそれぞれの体に埋め込まれた。四人のその後の驚きに満ちた人生と、それを語る人々のシュールで奇怪な物語」

最近、遅読ぶりがますます加速し、集中力も散漫になって読書ペースがめっきり落ち込んでしまっていたが、本書は全く先の読めない展開が面白くて、夢中になって読んでしまった。
カナダ在住の作家、エリック・マコーマックによる本書『パラダイス・モーテル』はミステリーではない。シュールで不条理な物語だ。こうしたタイプの小説に慣れていない人には、受け入れにくいかもしれないが、自分は大好きだ。

語り手は「わたし」エズラ・スティーヴンソン。少年時代に、30年もの間失踪していた祖父が突然還ってきて、語った不思議な物語を思い出す。船員として世界を航海していた時、パタゴニアの夜、揺らぐ焚き火の明かりの中で、ある男が語った奇妙な話。体内に母親の体の一部を埋め込まれた四人兄妹・・・エイモス、レイチェル、エスター、ザカリー・マケンジー。男は語り終えると、静かにシャツをまくり上げ、真横に切り裂かれた痕のある腹を見せると、夜の闇の中に去っていった。
突然この話を思い出した「わたし」は奇妙な事に、たて続けにマッケンジーたちと思しき人々のその後の数奇な運命を、口伝えに聞くことになる。
ジャングルの奥深くで先住民に捕らえられたエイモス。後頭部に目がついたシャーマンが彼に施す、奇想天外な儀式とは・・・
類まれな美貌をもったレイチェルを憎悪する同居人の正体は・・・
体に二十本以上もの串を突き刺すカーニヴァル芸人「アグハドス」と出逢ったエスターは・・・
そして、パタゴニアの闇の中に消えたザカリーのその後は・・・
主人公は奇妙な人物たちと出会い、本筋とは関係のない、これまた奇妙なエピソードを織り交ぜながら「語り」と「騙り」が交錯する。虚と実が曖昧になり、マッケンジーたちが本当に存在しているのか、そもそも祖父の語った話が本当なのかも判らなくなってゆく。論理立てられたミステリー小説などではないので、謎が気持ちよく解決される訳ではない。シュールで奇天烈な描写もあり、一種南米文学のマジックリアリスム的なものに近い印象も受けるのだが、この小説にはラテンアメリカ文学特有の生命感あふれるエネルギーはない。静かに澄み亙った、冷徹なブラックユーモアのような小説である。
「自己喪失者研究所」という、記憶喪失者たちが新しいアイデンティティーを与えられる施設が登場する。かつて熟練した処刑人だった兄弟が登場する。先住民の奇妙な風習や儀式が、文化人類学者が観察したかのように詳細に描写される。
この小説を構成するエピソードを重ねれば重ねるほど、物語は迷宮に嵌り込んでゆく。ジャンルに当て嵌める事を拒絶する、不思議な小説である。

文体はシンプルながら、時折はっとさせる独特の表現力を感じさせる。
「焚き火のまわりの光の輪の中に集まって、その背中で夜をしめだしながら」
「体つきのほうも、ずっと前に成熟した心にやっと追いついていた」
「手術室の冷たい空気が、ぱっくり開いた傷口に殺到するのが感じられる」

果たして、「パラダイス・モーテル」とは?
様々な解釈が可能なラストだ。

エリック・マコーマックの短編集『隠し部屋を査察して』を、大分前に買ったまま未読だった事を思い出した。
どんな短編を書くのだろうか。
不思議なざわめきを感じながら、「それ」があるはずの本棚に歩み寄っていった。
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By
形式:文庫
ある奇怪な事件の顛末が主人公に語られ、その事件に関わった人物たちのその後の体験が主人公に伝えられるというお話。その事件や体験がそれぞれグロテスクで奇怪、不条理な話で信じていいのかよく判らないまま小説は唐突に強制終了してしまう。なのに読後観は悪くなく、(個人的に)風通しのいい小説を読んだ気分になるのが不思議。それが偏にマコーマックのスマートな文体に起因してると思いますが、どうでしょうか。「洗練されたゴシック小説」とか変な形容をしたくなる不条理ミステリの佳作だと思いました。これを読んで面白かった人は同じ著者の「ミステリウム」もお奨め。まぁ私のような特殊読者向けだと思いますが。値段も20年まえだったら500円ぐらいだったろうに、今だと2倍になってるのも物価上昇の不条理さを感じます(或は本そのものを不条理な存在にしようという出版社の計略か)。
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