原作は非常に好きな小説で、それを今敏監督が映画化するのだから面白くないはずがない、とハードル高めに見たのだが、期待を裏切らない出来だった。
パプリカがとても魅力的なキャラクターに仕上がっているし(林原めぐみが好演)、本作のテーマである夢と現実が入り混じるビジュアルイメージは流石だった。
ただ、ビジュアル面に力点を置いた為か、ストーリーはややおざなりになってしまった感はあった。
クライマックスに向かうにつれ、事件の謎が徐々に明らかにされるが、それらが唐突に判明するので(ある人物とある人物の関係など)、観客は「えっ!そうなの!?」と驚く間もなくシーンはどんどん進行していく。この辺りはもう少し驚きの余韻に浸る時間を設けてもよかったんじゃないかと思った。テンポを重視した結果なのだろうが。
また、敵キャラの描写が淡泊で存在感が薄く、最後の対決が盛り上がりに欠ける。ビジュアルは素晴らしいが、カタルシスが弱いのだ。
…などと愚痴ったくせに、この作品は大好きなのである。先に挙げた欠点も含めて愛おしいというか。まぁ、単純に今敏監督のファンなので。
メインストーリー以外の部分に目を向けると、結構クスリとさせるシーンも随所にあり、見ていて楽しい作品である。