相変わらずストイックにしてスタイリッシュ、銃や車のみならず、時代考証に則り、小道具や衣装まで凝ったディテール。いかにも、マイケル・マンの作家性を感じさせる映画。
それだけではない、ジョニー・デップを主役に、今回は、美しく強烈な色気と甘美な香りまで漂わせる。モノマニアック感と硬質感と絢爛感を楽しむ為にも、ここはBDをチョイスしたい。
世界恐慌さなかの混迷混沌とするアメリカにあって、当時の犯罪者たちは、民衆たちにある種の畏敬を持たれていたと言う。
中でも、FBI当局からは、“PUBRIC ENEMY”と称され、最重要逮捕者リストのトップに挙げられながら、そのカリスマ性と芝居っ気かかったケレン味さで、スターであったのが、ジョン・デリンジャーとその一味。
彼らの虚像と実像については、過去何度もアプローチされ映画化されている。ジョン・ミリアスの「デリンジャー」など、男心をくすぐる傑作だっただけに、どうしても頭をよぎるのだが、さすがはマン。自身のスタイルに拘りながらも、従来の観客だけでなく、女性層をも取り込んで、ラヴストーリー的要素を盛り込んだ。何しろ、マンの映画では前代未聞、劇場ではすすり泣きが聞こえたのだ。
デップは男気と優しさ、繊細さを内包させる全く新しいデリンジャー像を創出、マリオン・コティヤールはフランス人の気高さとエレガントさが素敵だった。
「誰もが、今まで歩んできた道ばかりを気にするが、大切なのは、これからどう生きるかだ」。デップのコティヤールへの口説き詞がいかしてる、ちょっと惚れ惚れします。