この映画は、2007年3月に公開された初日に見に行った。わざわざ初日に映画館に足を運んだのは、「におい」を映像と音楽で表現するという試みがとても興味深く感じられたからだった。
「映像」で「におい」を表現することは、難しいと思うが不可能ではない。食べたことのあるものの映像を見たらよだれが垂れるように、嗅いだことのあるものの「映像」を見たら「におい」を連想するのではないかと思う。
それでは、「音楽」で「におい」を表現するのはどうだろうか。「音楽」は、物事や感情を表現するには適しているが、「におい」を表現するには適していないのではないかというのが映画を見る前の意見だった。なぜなら、「におい」があるものが「音」を発することは稀だからだ。「ピヨピヨッ」という音で小鳥を連想することはできるけれども、小鳥のにおいなんて連想できない(知らない)。「ブーン」という音でミツバチを連想することはできるけれども、ミツバチのにおいを連想することはできない(やはり知らない)。
映画は面白かった。「におい」をテーマにするだけあって、「におい」を発するものをうまく映像にとらえていた。背後で鳴っている音楽も美しくて映画にマッチしていた。けれども、ラトル指揮のベルリン・フィルの演奏をもってしても、「音楽」が「におい」を表現することはなかった。「音楽」が表現していたのは、においを嗅いだ人たちの感情とか心理状態であった。