重い本である。
重いといってももちろん持って重いのでもなく、テーマが重苦しいわけでもない。
なんというか、密度の濃い本なのだ。
まず、これは小説ではない。
ランディさんは今まで、自分を登場させてリアルに書いたフィクションの作品も書いているが、これはオールノンフィクション。
エリザベス・キューブラー・ロスのみた蝶を追う旅と、父親を看取るまでの旅が、互いに交わいながら進行していく。
ロスの蝶のエピソードは知っていた。
ロスの本は2冊ほど読んでいる。
テレビのドキュメンタリーでも見た。
彼女は死に逝く人々に、生きている人々に、死が終わりでないこと、自分を愛することを説いていた。
すごい女性だなと思った。
がしかしである。
晩年の彼女を追ったテレビドキュメンタリーはすごかった。
彼女は自分の死の研究は無駄だったと言い放ち、自分を愛するなんて自慰行為は気持ち悪くてしたくない、と公言する。
ますます好きになった。
そして、この『パピヨン』である。
ロスが収容所でみたといっていた死に逝く人々が描いた蝶はどこにもなかった。
ランディさんも驚いただろうが、わたしもびっくりした。
どこまでロスは人を驚かすのか。
それでランディさんは物理的には存在しない蝶を探す旅をはじめる。
わたしはランディさんファンで、たいていブログを読んでいる。
父親の発病、入院、看取りも大体知っていたし、今までの作品で、ランディさんがどんな環境で育っていたかも読んでいた。
けれども、こうして、違う作品で、今のランディさんのことばで語られると、ふたたび驚きの連続だ。
最後まで密度のつまった作品で、ほんとうに面白かった。