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わずか80ページ足らずの小説ながら、作者の仕掛けたいくつかの小話が精密機械のように正確に無駄なく機能して全体を構成しており、芥川賞受賞はさもありなんとうなづける。
いつもながら、作者の表現の的確さ・奥深さには舌を巻く。主人公が子供との自然体験をする場面、「太郎は、澄んだ眼にうっとりとした光をうかべた。それを見てぼくは巨大な魚が森に向かって彼の眼の内側をゆっくりとよこぎっていくのをありありと感じた」。また、魚やカニとりの話が一つのキーになっており、まだ20歳代だった作者が約十年後に釣りざおを担いで世界を駆け巡っていくことを預言しているようで、何とも興味深い。
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