時間のかかる料理をつくらない私は、田園調布『パテ屋』の惣菜が大好き。この本、読んでいるとガーリックや鰹節の良い匂いがしてきます。木々の緑に囲まれたお店で優しく応対してくれる林のり子さん、実は鋭い理数系センスで「食」を研究していたのですね。どんぐりやナイフみたいな小さいものから深〜い世界を発見する文章に、脳をマッサージされ血の巡りが良くなりました。 台所の片隅から縄文時代に飛ぶような体験が楽しめます。「稼がず、使わず、寝てくらしたい」と願う林さんですが、食品も道具も資源も大切に使う工夫は、ナマケモノとは思えない。型破りな実験精神と慎ましさが共存する日常が、美味しいパテの素なのかもしれません。