そのクオリティの高さから映像マニアの間で絶大なる支持を受けている今ソフトを遅まきながら購入、鑑賞した。
シネマ・スコープ一杯に広がった星条旗をバックにパットンが演説する有名な冒頭シーンから、思わず目を瞠る。クローズアップされるパットンの身体の部位一つ一つの肌艶や皮膚感の、そして、これ見よがしに身に付けられた勲章の深みのある色合いの鮮明度はどうだ。以下、シチリア侵攻、ノルマンディー上陸作戦等史実に残る戦闘シーンを挿みながら、ヨーロッパ各地を映し出す精緻な解像度の映像が続く。これ40年前の作品だからね、このクオリティはやっぱり凄い。
この映画、アメリカでは、当時のカウンター・カルチャー、ニューシネマの隆盛とベトナム反戦の高まる気運への反発から、保守層の支持を一手に受けてオスカーを大量受賞。逆の理由で、日本では各映画賞ベスト10からは黙殺されたと思われるが、久しぶりに見直してみると、これが中々の出来栄え。
邦題に“大戦車軍団”との物々しいフレーズが付随しているし、実際戦闘シーンも見応えがあるのだけれども、それでもこれは、戦争映画と言うより、頑迷で保守的、“戦争こそ我が人生”と公言する超好戦派の愛国主義者でありながら、一方で詩をしたためるロマンチックさも持ち合わせていた稀代の軍人の人間ドラマ。脚本を書いたフランシス・F・コッポラは、ありとあらゆる文献を読み漁って、この強烈で個性的なキャラクターを書きこんだと言うが、演じるジョージ・C・スコットの凄味によって、好き嫌いは別にして、3時間近くその人生の軌跡に惹きつけられる。
BDのクオリティと、スコットの素晴らしさと、パッケージ・デザインのクールさに、★5つを捧げたい。