原題の「SALO」とは、1943年、ドイツによって救出されたムッソリーニがイタリア北部に設立した傀儡政権・サロ共和国のこと。マルキ・ド・サドの原作では中世の人里離れた城館だった舞台を、このサロ共和国に移しています。
第二次世界大戦末期、敗戦必至のサロ共和国で、権力者達は前々から目を付けていた美少年と美少女達(自分達の息子や娘も含まれている!)を私兵を使って狩り集め、一つの館に立て籠もります。そしてそこで繰り広げられる暴行・拷問・スカトロ行為が全く遠慮無く、淡々と描写されていきます。少年少女達の人権は奪われ、ひたすら痛めつけられ、抵抗する者・逃げようとする者は容赦なく処分されていきます。
原作は未完のまま「残虐行為展覧会」と化していましたが、パゾリーニ監督はそれを見事に露悪的に、ファシストと抑圧される民衆、搾取する者と搾取される者の縮図を描いた映画に昇華させました。いつの時代も繰り返されるこの構図は、立場が入れ替わる事はあっても、構造自体はなくなりません。そしてそれを表す為に、この映画の無惨で救いのない結末が用意されているのでしょう。いうなれば、本作に嫌悪感を感じれば感じる程、この映画は成功しているともいえます。
この後パゾリーニ監督は17才の少年に撲殺され、本作が遺作となってしまうのですが、まるでそれを予感していたかのように永遠の苦痛、死によってしか訪れない解放が感じられる作品です。
ちなみに以前日本でビデオ/LD化された時はマスターの状態がかなり悪かったので、待望のDVD化と言えるでしょう。