68年革命とインターネットとの関係はあまり明らかになっていない。
オライリーがWEB2.0を主張したことで、ヒッピー思想とインターネットとの間によく似た発想があることはわかってきたが、それをつなぐ環が切れたままになっている。
それは、たとえば一番重要な「検索」というシステムを考えても、必須であるにもかかわらず、WWWの大きさを測定するためのスパイダーがクローリングをかけるまではネットの世界に検索が実装されていなかったというような事でも言えるのだと思う。
その思想の欠落を埋めるのが本書である。
実際にはネットに至るまでの道のりは勃興と壊滅。発想と忘却の連続であるが、マルコフは、そのルーツを1968年のサンフランシスコ郊外メンロパークのある場所に源流となるべき3つのグループが存在していたことから、複雑な紆余曲折に一筋の道をつけることに成功した。
米国の科学と文化における68年革命は、多数の人間によって引き起こされ、またその背景も複雑であるが、著者はそれぞれの内部においてのみしられているような人物にも通暁しているために、はじめて、この作業に成功したと言える。
とにかく、この本に登場する人物のカードだけでも作らないことには一歩も進まないが、その一歩は本著の登場によって可能となっている。
エンゲルバートと「全地球カタログ」のブランドが共通のイメージをグルジェフの弟子のシュールレアリストの導きによって共有することが出来たと言うことも、この本を読んで初めてわかった。
この本の真価は、WEB2.0的な情況が、もうすこし進んで初めて日本でも理解されることになるだろう。そういう意味ですばらしい本だと思う。