後藤ひろひと作/G2演出の伝説とさえ言われている舞台「MIDSUMMER CAROL 〜ガマ王子VSザリガニ魔人」を映画化。
初演は2005年。2008年にキャストを変えて再演。
舞台版のタイトル通り、クリスマスキャロルを下敷きにした心温まる作品。
偏屈なジジイこと大貫は、スクルージに当てはまる。基本的に舞台版を踏襲している。
今回の映画版は「嫌われ松子の一生」等の、中島哲也監督らしい、溢れんばかりの鮮やかな映像が魅力。
テーマパークのアトラクションに迷い込んでしまった感覚。
独特の異世界観とくどさと感動が、こってりとした中島監督の映像センスと相性が良い。
画質は、非常に綺麗。
邦画のBDソフトは、撮影機材良し悪し・マスターの起こし方所以なのか、大抵輪郭にメリハリがなく、どこかもっさりした画質の作品が多い様に感じるが、本作はおそらくハイビジョン・カメラ撮影されたのであろう。透明感があり、精細感も良い。
引きのショットでややピントが甘いと感じるシーンは幾つかあった様に感じた。
レートは常時高く、衣装・セット・小道具等の細部、飽和状態の色彩、CGを多用した映像も破綻がない。
逆光の使い方も良く、光のフォルムに包まれる様も美しい。
作品的にはフィルムライクな空気感があった方が良いのではないかとは思うが、ハイビジョンらしい非常に美麗でBlu-rayで活きる映像。
音質面も中々。
一番評価したいのが台詞部分のシャープーさ。
子音が粒立っており、ひとつひとつの言葉が明瞭に聞こえてくる。
繰り返されるパコと大貫の大切なやりとり・台詞の抑揚が際立つ。
低音や派手なサラウンドはないが、美しい音楽や環境音の広がりが良い。
特典は未収録。
通常字幕に加え聴覚障害を持つ方々の為の日本語セリフ字幕+場面説明字幕を用意している点は評価したい。
ある病院を舞台に起こる小さな奇蹟。
元が戯曲である事もあるだろうが、もう少し観る者の想像に任せる部分もあっても良かった。
映像技術を駆使して全てを具体的な映像として見せた意義も大きく、それはまた楽しく魅力的ではあるが、一方で絵本を読む様に、小さな空間から無限に広がる空想が、有限になった感も受ける。
初演の舞台を観ているので問題なく入り込めたが、キャラの濃い登場人物のテンションの高さに、冒頭で乗り遅れてしまう可能性はある。
映画として、導入部分に少し変更を加えてもまた違った面白しろさが出たかも知れない。
それでもやはり、その萬話的世界と純粋さ、小さくて大きな変化に涙してしまう。
舞台版は2005年初演、2008年再演共にDVDが発売されているので、キャストを含め、舞台版と見比べてもまた新たな発見があり面白いと思う。