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バン・マリーへの手紙
 
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バン・マリーへの手紙 [単行本]

堀江 敏幸
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ユセンにしないと出てこない味なのよ、と先生は言うのであった。直接火にかけないことで逆に奥深くまで火を通しうる「湯煎」のようにゆっくりと、彼方に過ぎ去った思い出や、浮いては沈む想念をやわらかな筆捌きでつづる最新散文集。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

堀江 敏幸
1964年、岐阜県生まれ。作家、仏文学者。『おぱらばん』(青土社、1998)で三島由紀夫賞を、『熊の敷石』(講談社、2001)で芥川龍之介賞を、「スタンス・ドット」(新潮社、2003)で川端康成文学賞を、『雪沼とその周辺』(新潮社、2003)で谷崎潤一郎賞と木山捷平文学賞を、『河岸忘日抄』(新潮社、2005)で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 249ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2007/5/18)
  • ISBN-10: 4000244361
  • ISBN-13: 978-4000244367
  • 発売日: 2007/5/18
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.4 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By blue56
形式:単行本
久びさにいい本を読んだ。バン・マリー、元々は錬金術師マリーという人が由来であるそうだが、「湯煎」の意味だそうです。
一見、コアなフランス文学などの話があってむずかしい本のように思えるが、わからない話はそのまま読み進めると
堀江の日常の体験がユーモアとペーソスで語られいて入りこんでしまう。まさに、バン・マリー(湯煎)のような堀江ワールドであった。
こういう本が多くの人に読まれて欲しいと切に思う。商業ベースに毒されていない本っていいもんだなぁ。
私も堀江と同じくツルツルのブックカバーの汗ばんだ感触が嫌なんですが。そういえば、堀江の本は
汗を吸いとるカバーで心地いいね。そういう気配りもあるんだな。
本の装丁もシンプルで右下隅のイラストが何だと思ったら、湯煎に使われる鍋類だった。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
『バン・マリー』とは湯煎のことで、この命題は直火を当てないように柔らかく包み込むように、散文集全体にわたって貫かれている。最後の渡り鳥についての記述にしてもキーワードとなって出てくるのだ。
いつものことながら堀江さんの美しい日本語にうっとりする。欲に囚われた生活をしていて、何かすっきりと澱を洗い流したい時、堀江さんの文章に助けをもとめるのだ。
『思い出を持つだけでは十分ではない。思い出が多くなったら、それを忘れることができなければならない。再び思い出がよみがえるまで気長に静かに待つ辛抱がなくてはならない。思い出だけでは十分ではないからである。思い出は僕たちのなかで血となり、眼差となり、表情となり、名前を失い、僕たちと区別がなくなったときに、恵まれたまれな瞬間に、一行の詩の最初の言葉が思い出のなかに燦然と現れ浮かび上がるのである。』
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形式:単行本
あなたはこの本を手に取ったときに、その表紙の美しさと手触りに軽い驚きをもつだろう。
そして、なにか記憶の遠いところの、柔らかなあたたかいかすかな懐かしさを覚えるだろう。

その色はまさに湯せんされたミルク。
幼いときに幼稚園で飲んだあたためられたミルク。

ゆっくりと湯せんで時間をかあけてあたためられたミルク、その味わいが文章全体を包んでいる。日常の何気ない出来事、私たちの毎日に転がっているような見逃しがちな出来事さえも、彼の手にかかると魔法のようにやわらかく、やさしい日々の出来事に変わる。大切な思い出、宝物のように変わる。

それは何気ない出来事だけではなく、膨大な知識に裏付けられた敬遠しそうな内容でさえもやわらかく包んで、「いつかわかるときがきたらわかればいいよ。待っているからね」とでもいうように変えてしまう。

私の大好きな人が私に教えてくれた大切な本。
その人はこれを読むたびに幸せな気持ちになるといっていた。
そして私もこの本を読んで幸せをもらった。
いまでもこの本を読むたびに彼を思う。
悲しいときでもすべてのものをいとおしんでゆっくりとあたためられた文章は、おだやかに悲しみを包んで私に「ここにいてもいいんだよ」という安心とほんのりとした幸せをくれる。

この本はきっとあなたも幸せにしてくれるはず。
心の底からゆっくりと、ゆったりと「湯せんされた」ミルクを飲んだ子供のときのように。
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