手塚氏の作品は以前より愛読させて頂いております。「バンパイヤ」も例外ではありません。
実写とアニメの合成されたこちらの作品は、CGも使えなかったこの時代に「毛の一本一本をフィルムに書きこんでいった手法で話題を呼んだ」という主人公の変身シーンを是非とも見てみたいというのと、実際に手塚氏が出演、当時の虫プロも映っているということで、思わず購入いたしました。
総合的に作品に満足できたかと云えば、残念ながらそうとは云い切れません。
他の方がレビューで書かれているように、はじめの展開はたいへん興味をそそられるものでしたが、中盤以降は無理な路線変更があり、せっかく温められていた様々な伏線がフイになってしまった感が拭えず、ついていくのが大変でした。
添付されていた資料を拝見しましたら、最初の企画書には、原作では登場したロックの親友西郷やヒゲオヤジなど、結局こちらの作品には登場しなかったキャラクターのキャスティングも記されていたとか。観てみたかったですね。残念としか云いようがありません。
しかし、感激できる部分がないわけではありません。
なかでも声を大にして云いたいのは、俳優陣の演技の質の高さでしょう。
主役に抜擢された若き日の水谷氏はもちろんのこと、山本氏(チッペイ)の愛らしさ、渡辺氏(森村)、岩下氏(下田)、嘉手納氏(ルリ子)などの好演は見逃せません。
個人的な感想で恐縮ですが、中でも強く心うたれたのは、ロックこと間久部緑郎を演じた佐藤博氏です。「へえ、うまく演じているな」ではなく、「おお、ロックってホントにいたんだ?!」という錯覚を起こさせた佐藤氏には、私は喝采を惜しみません。彼という役者を知ることができただけでも、この作品を観た甲斐があったといっても過言ではないかと思います。それほど、佐藤氏のロックには心奪われてしまいました。
しかも、手塚氏はこの佐藤氏演ずるロックをたいへん気に入り、高く評価されていたとか。
手塚漫画ファンの皆さん!
氏ご自身太鼓判を押したロックを知りたいとあらば、是非ごろうじあれ。