さきに『orbital period』でレビューしたため前後しますが、本書は“教科書”といえる素晴らしいスコアです。
『ユグドラシル』という作品に対する想いはみなさんと軌を一にすると思うので、
今回は本書の“教科書”としての観点からレビューしてみたいと思います。
レベル的には、初心者から広く挑戦できます。
さきに成果的な話をすると、本書を一通り(とりわけasgard、ギルド、embrace、車輪の歌、スノースマイル、レム、太陽)弾けるようになると、
今後の演奏に相当の幅が生まれ、さらに他の曲も弾けるようになれば、それがいっそう増します。
また、良い意味で各曲に難易の差があるので、全曲を通じて、自身の成長度というものも自然と把握できます。
つまり、本書は極めて多様性が高く、それでいて、奏者として修得しておきたい(変に技巧的でない)奏法がひとしきり詰まっているわけです。
フィンガーピッキングもそのひとつ。『レム』あたりから挑戦するとスムーズに学べるかもしれません。
最終的に『太陽』が弾けるようになれば、その後のフィンガーピッキングを用いる曲はさほど問題ないと思います。
この奏法はギターをやっていくうえでとても貴重なレパートリーになるでしょう。
ちなみに、私は購入後4年が経つ今もなお本書をマスターしたとは全く思いません。
その理由は、「1音1音の存在意義の探求」にあるわけで。
格好の例が『太陽』の1分14秒のとこで、ここだけ2弦3フレットが加えられます。
藤君のことだから、何となくとかは絶対にあり得ません。
実際に弾くと、たしかにこの一瞬はとても大切にしなきゃいけないと感じ取れる。
「その意図まで読み取るのは難しい、しかし、たしかに存在意義がある」という採譜が所々に散見されます。
こういうのを追い求めることができるという意味でも相当に教科書的。しかもかなり良質な。
なお、1音ごとの探求をしていると、自ずとその最適な音色を出せるよう練習することになるでしょうから、
時間はかかりますけど、自身の潜在的な部分を磨く良い機会になるし、付随的に読譜力も向上します。
このように、本書から次のステップへ、また、本書だけに没頭という、様々な利用があり得ます。
深く追うというのは、さきほどのように1音ごとに着目するという観点もありますが、そのほかに、たとえば、
アコギで弾いてみるとこの曲はどういうふうに変わるか?といった感じに1曲1曲ごとに俯瞰するのもすごくおもしろいです。
基本的にはアコギだろうがエレキだろうが構わないと思います。
たとえば、アコギで『ギルド』のメロディ部分を弾いたりすると、かなりしっくりくることに気づきます。『embrace』もかなり良い。
あと、自分の能力をごまかさないという意味でアコギはオススメです。
とくに、フィンガーピッキングを練習する際、しっかり音を出せているかだけでなく、思い通りの音を出せているかを
確認するのは断然アコギの方が良いです。
やっていただければわかりますが、アコギでは、たんにピッキングの強弱だけでなく、指の触れ方や角度などで相当に音が変わるので、
難しいぶん自由度が高いということでもあります。
「作品に向き合えるだけでなく読み手の実力も確実に向上させる」というスコアを、私は本書以外に見たことがありません。
とにかく、ギター1本と本書だけあれば、確実に上達します。