「エースコンバットシリーズ」でなく「エースコンバットの名を冠した別の何か」。
ナンバリングされてないのも納得。
海外レビューで
「もしエースコンバットの素晴らしい体験をしたいならシリーズ初期の作品をプレイすべきだ。」
と言われていたようだが、完全に同意である。
以下、キャンペーンクリア時点での感想を述べる。
【ストーリー等】
「主人公」は前作までのような「架空世界の無名なパイロット」という「自分」でなく、
「アメリカ合衆国」所属の「ウィリアム・ビショップ」中佐。
そのため「自分がその世界で活躍する」というよりは「中佐が活躍するドラマを見ている」という感じ。
おまけに作戦開始前のブリーフィングや、作戦終了後のリザルト、
敵機撃墜によるスコア(お金)すら無いので「自分で好きな機体や兵装を購入する」という事も出来ず、
「自分がこの世界で活躍している」という感情移入はしづらい。
(ブリーフィングがないので作戦開始前に地形や目的も把握できない。
始まってから「護衛しろ」とか「艦船を破壊しろ」とか言われるだけである。)
【DFM(ドッグファイトモード)】
敵機に近づいてコマンド入力すれば、セミオートで敵機を追尾してくれる新システム。
ケツにぴったりくっついて機銃攻撃したり、敵機がバラバラになるシーンがアップで流れたりと
なかなか魅力的だが、問題は「これでしか倒せない敵機が多数登場すること。」
その多くがDFMに入ると決まったコースを飛行していき、主人公機はそれに付いていくことになるのだが、
「決められた演出ポイント」(スタジアムの大型ビジョンにぶつかるとか、艦船に突っ込むとか)まで
撃墜することができないのである。
その上、前述のとおり「敵機がバラバラになるシーン」の演出が流れるので
その演出ポイントが狭い峡谷内だったり、都市のビル群だったりすると
自機がどういう状態なのか見失う事になり、峡谷にぶつかったりビル群に突っ込んだりとひどい目にあう事もしばしば。
また、「対象エリアまでに2機落とせ」というような切羽詰まった状況の1機目撃墜シーンでも
そのド派手な演出を見せられるので「良いからさっさと2機目を落とさせてくれよ」とうんざりする事になる。
【ASM(エアストライクモード)】
大量の地上ターゲットがあるときに、決められた侵入経路のマーキングに近づいてコマンド入力すると
敵軍の上をなぞるようなコースが表示され、武器の再装填時間が短くなり、攻撃が当てやすくなる…のだが、
ここでも過剰演出が邪魔になってくる。
地上すれすれを飛行中にも破壊シーンが差し込まれるのでヒヤッとしたり、
ASMになって最初のターゲットを破壊した後に僚機が攻撃するシーンが差し込まれて
次のターゲットを狙うのが遅れたりする。
その結果ターゲットを取りこぼし、僚機に「まだ残ってます!」と言われても苦笑いしか出ない。
決められたコースをゆっくり飛ぶことになるので、敵航空機からは的になりやすいのも難点''。
【戦闘ヘリ、ドアガンナー、ガンシップ】
本作で初めて登場したモード。
戦闘ヘリは最初やや戸惑ったが、思うように操作出来るようになってからは
大量の地上ターゲットをガンガン攻撃したり、飛んでくるミサイルを緊急回避したりと
なかなか楽しめた。(緊急回避しようとして誤って特殊兵装が出てしまうのはやや難有りか?)
問題は「ドアガンナー」と「ガンシップ」。
自分は銃座にどっしり構え、眼前に出てくるターゲットをぽちぽちと倒していくだけ。
果たして誰が「これがエースコンバットシリーズに組み込まれる事」を望んでいただろう?
CODなどのFPSゲームで体験出来るものと大して変わらないし、取り立てて優れてもいない。
キャンペーン中、ドアガンナーは2ステージ、ガンシップに至っては1ステージのみ。
これを新たに加える事で、果たして何がしたかったのか疑問が残る。
−−−−−−−−−−−−−
あちこちに差し込まれた、プレイの快適性を損なう過剰演出。
廃止された「ブリーフィング」「リザルト」「自機購入」。
誰が望んだのか解らない「ドアガンナー」と「ガンシップ」。
ユーザーが望んでいた物と、製作者が望まれているであろうと考えた物に
大きな食い違いがあるような気がしてならない。
どうやらオンライン対戦のほうは好評なようで、
「オフラインはオンの練習みたいなもの」という人もいるようだ。
確かにDFMは人間同士の対戦でこそ真価を発揮しそうなシステムであるし、
そこでなら過剰演出に困ることもないだろう。
実はキャンペーンはたったの全16ステージ。半日程度で終わってしまう。
本当にオフラインはただの準備に過ぎず、オンラインにこそ、このゲームの真価があるのかも知れない。
であればいっその事「エースコンバット オンライン」と言うタイトルで売りだして欲しかった。
「自由に空を飛び、信じがたい戦果を上げ、重厚な世界観の中でエースパイロットとして生き、ストーリーに感動する」。
「エースコンバット」というタイトルにそういう物を期待している人にとっては、
フルプライスで購入する価値のあるものでは決して無い。
本当に過去作を遊んだほうが良いだろう。