薄暗い過去を持つ男、テリーは、車のディーラーとして働いており、家族もいる。いわゆる「やばい仕事」からは身を引いていた彼の元に現れた美しい女性マーティンは、その「やばい仕事」を持ちかけてくる。銀行強盗だ。古い知り合いであるマーティンであるが、テリーは彼女を信頼することはできない。それでも、計画は、テリーにばら色の人生を約束できるほど大きなもので、彼は身を引くこともできないのである。一世一代の大仕事「ロンドン市内にある銀行の貸金庫強奪」のため、仲間を集め、計画を実行していくテリーたち。金と宝石が目当ての男たちが、知らずに手にしてしまった「ある秘密」のために、彼らは、思わぬ大きな力から追われる身となってしまうのである。果たして、彼らは無事に逃げおおせるのか...。
1971年、ロンドンはベイカーストリートで起きたロイズ銀行の強盗事件が元となった作品。随所に実際にあった出来事がちりばめられ、独自の情報元があり、下調べも念入りにしたという製作者側は「事件の真相を初めて暴いた作品」だと言っている。しかしながら、実際の事件には、国家の安全を守るとの名目で未だ法的に開示されることのない情報が多く存在しているのだ。彼らが、どの程度、真相に近づけたのかという点には、大きな疑問が残る作品だといえよう。実際、製作者側がマーティンは実在の人物ではないと言っていることからも、この作品を堂々と「実話」として宣伝するのはいかがかと思うのである。
映画自体の評価としては、個人的には☆5つをつけたいくらい。実話に忠実でありたいとした所で、劇的で大掛かりなフィクションを組み込むには制限が出来る。そのため、作品には、オーシャンズシリーズのような華々しさとスピード感はない。その代わり、地味に力強い演出が秀逸だ。これを、「退屈で単調」と取るか「奇なる事実の速度」と捉えるかで、好き嫌いが別れることだろう。万人むきではないけれど、お勧めの1本である。