ラ・スペコラ博物館の蝋細工解剖学模型の写真集は、2種類発刊されている。
1つは、タッシェンから発刊の「解剖百科(原著:Encyclopaedia Anatomica)」。
私は「バロック・アナトミア」より「解剖百科」のほうが好み。
理由を一言でいえば、「解剖百科」には、生命力を感じるから。
ここが「バロック・アナトミア」とは正反対なのだ。
(詳細は「解剖百科」のレビューにて)
そして、この「バロック・アナトミア」。
見事なまでに大腸を引っぱり出されて横たわる乙女。
その大腸ににじり寄って、足元から撮った一枚は・・・絶品。
やはり、これは「美しい」としか言いようがない。スプラッター好きな人など、たまらんでしょう。
「バロック・アナトミア」は撮影条件が悪く、「カーテンは閉めたまま」「撮影用ライトは無し」等々、様々な制約を設けられた中で撮られたという。そのため、暗かったり、ボヤけていたり、逆光だったり、部分のみの接写だったりする。
つまり、どこから見ているのか、どこの部分なのか、全体はどうなっているのか等々、よくわからない写真が多い。
それが思いがけず「画的な美しさ」を生み出し、かえって芸術性を高めている部分もあるのだろうが、やはり私としては、見たいのに見えないジレンマを押さえられない。
この本は、ひとことで言うと「グロテスクの美学」。
帯にも「死の匂いを湛えた濃厚なエロティシズム」とあるように、死への憧憬すら感じる。ある意味、非常に背徳的な作品集。
なんとなく、しょっちゅう見たいとは思わない一冊だ。
見ていると、自分のベクトルが、どうも「死」に向かってしまう。
明日への活力は・・・決して湧いて来ない。(当然)
もちろん、嫌いじゃないんだけど。