セルはもう一度発掘されてよい指揮者です。彼は単に職人と思われがちですが、全然違います。それはオーマンディーが同じような不当な評価を受けているのとよく似ています。いずれにしてもバーンスタインより少し前のアメリカの指揮者は何となく不遇です。
さて、このヤナーチェック(村上春樹はこう書くのです。通例はヤナーチェクです)のシンフォニエッタとバルトークの管弦楽のための協奏曲はクリ−ブランド管弦楽団のヴィオルトーゾが最大限に発揮された演奏です。彼らは機能美と言われたように見事なアンサンブルで定評を博していました。特にセル時代のクリーブランドは言う事なしです。
その間違いのない時代の、トレーニングをしっかり受けたオーケストラによる名演です。更にこのバルトークは、ジョージ・セル版というべき唯一無二の録音でして、なんでこんなことになっちゃったのかはわかりませんが最終楽章piu prestoでうごめく部分をその少し前から完全にカットしちゃってコーダに直接ぶつけてるんです。賛否は別として史上まれにみる録音であることには間違いありません(ちょっと汗)。ただ、ヤナーチェクの演奏の見事さは別格ですので、是非このCDはblu-specとして、更に一段の輝きを添えて欲しいものの一つです。
付記しますと、村上春樹の1Q84で青豆が購入するLPがこの録音です。このLPが出た時代の通常手に出来るヤナーチェックのシンフォニエッタの録音としてはこの盤とカレル・アンチェルのものぐらいしかなかったような気がします。そういった意味でも、オールドファンにとってもとても懐かしい演奏です。
もう一つ付記いたしますと、音楽ベストセラーで6月6日には日付けにちなんだように66位、6月11日には31位にまで上昇しました。このような作品で50位以内に入ること自体があり得ないので驚愕しております。やはり日常とは異なることが起きていますよ。