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バルテュス、自身を語る
 
 

バルテュス、自身を語る [単行本]

バルテュス , アラン・ヴィルコンドレ , 鳥取 絹子
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

20世紀最大の画家バルテュス。今まで語らなかった日本人の妻・節子、娘・春美との私生活、絵画や芸術への思い、自身の来し方を初めて語った貴重な記録。図版多数収録! 没後10周年記念。

内容(「BOOK」データベースより)

20世紀の最も偉大な画家の一人であるバルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ、通称バルテュス。彼が晩年を過ごしたスイスのグラン・シャレーにて、今までほとんど語られなかった私生活―日本人の妻、節子と娘の春美のことから絵画と芸術に対する思想まで、初めて語った貴重な回想録。デュラスやカミュ、サン=テグジュペリの伝記で知られる著者ヴィルコンドレが2年間にわたりバルテュスに取材し、まとめた傑作。

登録情報

  • 単行本: 304ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2011/2/18)
  • ISBN-10: 4309255345
  • ISBN-13: 978-4309255347
  • 発売日: 2011/2/18
  • 商品の寸法: 19.6 x 13.8 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 393,357位 (本のベストセラーを見る)
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By どぜう トップ1000レビュアー
Balthazar Michel Klossowski de Rola、通称Balthusバルテュス(1908〜2001)の晩年の回想録を纏めたものです。
評者は美術に疎いこともあり、本書に出会うまで氏の名前さえ耳にしたことがなかったのですが、激動の20世紀を天命に従って生きたらしいこの画家のお話は刺激に富んでいました。
表紙裏にあるように家族(二人目の妻の節子さんについて、感謝も含めたお話が多いかな)のことにも多少は触れられていますが、評者としては主に彼の生活のモチーフになっている(?)絵に関する考えや取り組みの話題に興味が惹かれました。

人生の後半はMorvanのシャッスィー城、ローマ近郊のMontecalvello城、ロッシニエールのグラン・シャレー、などに籠って隠遁生活の中での制作活動を主に送っていたようですが、それ以前にパリで仕事をしている頃から、氏は自ら進んで孤独を求めてきたようですし、彼はその中でこそ成長できたと告白されており、極めて強い求道精神をお持ちの方だったようです。

濃淡はいろいろあるも彼の広い交友(?)関係(リルケ、ジャコメッティー、フェリーニ、ジューヴ、ピカソ、カミュ、マルロー、)が語られる一方、現代芸術と称されるものへの痛烈な批判、自身の作品に描かれる少女に関する無理解な解釈に(「エロティック」とされるらしい)対する憤慨、シュールレアリスト批判、などが繰り返し述べられています。

特に次のようなフレーズが印象に残っています。

・ 私は現代画家たちが溺れている個性第一主義にはいたく憤慨しています。・・・語ったり探求したりしなければならないのは、自分を表現することではなく、世界、その神秘と闇を表現することです。(33節)
・ 私がいちばん信用していないのが精神分析(37節)
・ このような伝統に対する深い執着があるから、私はフランス革命で取得したものを前進、あるいは実際の進歩と認めないのだろうか?(革命の)結果、世界の実情は荒廃し、忌まわしい金権万能の風潮と、小さな価値観を持つ小商人のブルジョワ階級が台頭することになった。(64節)
・ 思いやるとは、他人とともに苦しむことですが、話を聞き、耳を傾け、理解することでもあります。(75節)

ただ遁世を極めるのであればテレビでハリウッド映画を見て欲しくなかった気がしますし(40節)、のぞき趣味のようで恐縮ですが、節子夫人と恋に陥るまで氏と一体感を持って同居されていたという姪のフレデリックさん(69節)はその後どうされたのか、ということももっと触れて欲しかったということもあり、★を一つ減点させて頂きました。
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 バルテュスはスイスの屋敷グランシャレーに隠遁者のように暮らし、自らを語らない画家といわれてきましたが、生前ここまで語っていたとは驚きでした。絵画に対する熱い信仰が、カソリックへの信仰とともにしつこいくらい語られる、それを読んでバルテュスも年をとったんだなーと感じてまたファンは面白がるでしょう。
 グランシャレーは最初節子さんが気に入ったこと、それを買うために売った絵は何枚だったのか、そういうトリビアルなことを知ってうれしいファンはぜひ読んでください。
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 バルテュスは、敬虔なカトリック教徒でした。
 彼は、<神が体現するすべてのものに到達する>ために、長い巡礼の道を、聖なる沈黙のままに独り歩む聖職者のように、絵画の道を、謙虚に無私の境地で、ゆっくりと忍耐強く歩んでいきました。
 <狂った車輪のように廻る時間を拒否>して、アトリエの中に流れる静かな時の中で、<消えてしまったすばらしいものたちの楽園>を永遠の美として輝かせ続けるために、彼の絵筆は、神のしもべに授けられた魔法の杖のように、つつましげに、けれども絶えることなく動き続けたのでした。
 真の芸術家の、美しい聖なる生涯と思想だと思います。
 
 芸術も、この世の中から、永遠へと通じる光を掬い取る方法のひとつなのかもしれません。
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