『バラ色の明日』は、読みきり連載という形をとった単行本である。1話で完結する話もあれば、5~6話に及ぶものもあるが、秀作揃いで何度も読み返すことができる。
いくえみ綾の作品はテンポがよく、登場人物達の内面が良く判り、読んでいて疲れない。だが、あっさりし過ぎてはおらず、読者の心にしっかりとメッセージを残していく。物語の中に劇的な展開があるワケではないが、ダラダラしているワケでもなく、読者を飽きさせる事はない。いくえみ綾の作品に登場する人物達は、普通の学生や普通のフリーターや普通の社会人ばかりである。等身大といえる。彼等は普通の人生を送っている、それはつまり私達とそれほど変わらない生活を送っているということだ。だから、劇的な出来事などそうそう起こるはずもない。そういった理由から、読者は登場人物達の考えや心情を理解しやすいのだろう。まぁ、普通の生活の中にある喜怒哀楽を、感動ストーリーに仕上げることが出来るいくえみ綾の才能はハンパじゃないってことだ。
第1巻に収録されている「巷に雪の降る如く」は心に残る作品だった。この作品は切ない。とにかく切ない。この作品には続編があり、数年後の物語は『オススメボーイフレンド』に収録されている。まだ読んでない方はそちらもオススメする。