グリーグは、一般には『ペール・ギュント』のイメージが強いが、実際には『抒情小曲集』というピアノ曲集を出し続けた「北欧のショパン」とも言われる作曲家で、ピアノこそが彼の楽器であり、ピアノ曲こそが彼の本領と言えるだろう。現在のノルウェーを代表するピアニストであるアンスネスが案内役となった同名のドキュメンタリー番組とともにつくられたこのCDは、本当の意味での新録音はその番組でもフィーチャーされていた「ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード」だけである。だが、そのめったに演奏されない「バラード」と、子供の頃からグリーグの曲に親しんできた彼がグリーグ愛用のピアノで弾いた『抒情小曲集』からの抜粋や、マリス・ヤンソンス/ベルリン・フィルという強力なバック・アップを得た有名なピアノ協奏曲を、まとめて1枚で聴けるこのCDは、ピアノの作曲家としてのグリーグの魅力を知るのに最適なCDとなっている。