イニャリトゥ監督のことばによれば、人間たちが神に近づきそうになったため、罰として言葉をバラバラにしたのだという。本作を観て一番思うのは、資本はどうであれ紛れもないハリウッド作品なのに、数カ国語が飛び交っているその凄さである。字幕を読まないアメリカの国民性もあり、全米大ヒットとはならなかったが、オスカーレースは賑わした。発砲事件を巡り、モロッコ・日本間を銃器が渡り歩き、各地で不幸な事件が起きる。巻き込まれるのはその国の当事者たちとアメリカ人・メキシコ人だ。その発端は日本人が売ったライフルとアメリカ国内で息子を失い、目標を失くした夫婦なので、主軸は日米4人の俳優が演じることになる。B・ピットとC・ブランシェットは流石だ。スーパースターなのに、そこいらにいるアメリカ人のように見せるのは余裕のなせる業か。菊池凛子はオスカーノミニーという大快挙を成し遂げたが、本作を観れば納得である。あの妖しさを演じられる女優は日本にそうはいない。邦画よりもハリウッドが似合いそうな女優って、いつ振りだろうか。もしかしたら青木鶴子以来かもしれない。これからも楽しみである。メイキングは東京の撮影の大変さに大笑いできる。映画以外では融通がきく国民性なのにね。都ももう少し寛大になってほしい。作品は星4つ。