前作「兇天使」で頂点を極めた野阿梓さんが新たな領域を切り開いた意欲作.同氏の過去作品での登場人物や舞台設定は欧州・中東をベースとしたどちらかといえば無国籍だったのが本作では一転して日本を舞台とし、主題はなんと天皇制!人類が月やラグランジュ点に植民都市を建設している近未来、日本の一地方都市に太古に封じられたとおぼしき一族が大反逆を決意.その邪悪な霊を察知した美貌の宇宙最強超能力エージェント、姉川孤悲が宇宙から日本に降り立ち征伐に挑むが果たしてその結果は・・・といったストーリーです.時代は近未来ですがその世界情勢は満州事変前後を模しており(甘粕大尉や李香蘭がモデルのキャラクターも登場します)、現実の世界情勢に対する鋭い洞察ともなっています.冒頭の月都市「ネオ上海」でのブレードランナー的世界も細密で美しく.また地上においては妖魔・怨霊が乱れ狂ってエロスとバイオレンスが炸裂.永井豪ワールド的パワーに満ち満ちた力作です(下巻もレビューします)