いやぁ、この謙虚な語り口、素直な心情の吐露には好感が持てるなぁ。思ってたよりずっと良かった。意識的に、虚飾なく語ろうってのがわかるもん。ほら、例えば全共闘世代とか、戦中派でもいいんだけど、下の世代が知らないと思って吹かす人いるじゃん。知らないからって分かっちゃうんだよな、そういうの。まぁ過去について語るってのは、その行為自体すでに偽史なんだろうけど。その点、本著の内容は、著者と同年生まれの俺から見ても、生活実感的にっていうか、リアリティーっ的にっていうか、バブルって時代をかなり正確に自身の記憶から紡ぎ出してると感じられるんだよな。しかも、シャインズってのはバブルのまさに渦中っていうか、シャインズって存在自体がバブルだったんだよな。例えば、ホイチョイなんかはシャインズにまだ近いんだけど、本著にも登場するユーミンや秋元康、あるいは田中康夫や木村和久、西川りゅうじんといったバブル期のオピニオンってのは基本的にバブルの発信者、加担者なんだけど、シャインズってのはバブルの発信者であり受容者でありって両義性があって、シャインズじゃなきゃこの本の内容は語れないっていう特殊なポジションにいる。本著を読むとシャインズを主導したのは杉村氏なんだけど、バブル崩壊の象徴とも言える倒産山一の社員だった伊藤氏のほうが、存在としては際立ってるよね(話は逸れるけど、「素人」を商品にするって戦略において、決して偶然シャインズが秋元康の目にとまったわけじゃないよな。やっぱあの当時の秋元康の時代の読みは鋭い)。
しかし、バブルの時代を伊藤氏と同じように通過しながら、俺はその渦中に居なかったっていうか「えーっ、やっぱ、そんなに貰ってたのかよー」って感じである。まぁ、これ読むと“楽しげで、虚しげな”あの時代が懐かしく想い出されるし、あの頃を知らない人にも、そのニュアンスはしっかり伝わると思う好著である。