全5章を通じて、事業内容が理解できる、長期的な業績見通しが良い、経営者が有能で信頼できる、魅力的な価格で買うことができる、というバフェットの投資基準の重要性が、実際の投資事例を用いて説明されている。また、繊維会社への投資といった失敗例も多く取りあげられ、その中から「まずまずの企業をすばらしい価格で買うよりも、すばらしい企業をまずまずの価格で買うことの方がはるかに良い」、「乗り込んだボートをいかにうまく漕ぐかということよりも、どのボートに乗り込むかということの方がはるかに重要」というような投資哲学が形成されていった過程がよくわかる。
また、彼自身投資家であると同時に経営者であることから、ユニークな視点から的確に事象を分析し、実践しているところが興味深い。支配権を得た買収でも経営の自主権を認めたり、ルックスルー利益という概念を持ち込んでいるのもこの現れであろう。一方、多くの経営者が配当を低く抑え株主の利益を損ねている、ストックオプションは株主にとって高いコストとなっている、無節操な企業買収で株主は高い買い物をしている、企業会計にはペテンが多いといった彼の批判は、投資対象選別の基準としてぜひ学んでおきたい。
全体としては「手紙」を編集した随筆のような構成なので、やや冗長なところがあるが、一気に読むのではなく、時間をかけて彼の哲学を理解するにはちょうど良い。(河野幸吾)
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5つ星のうち 5.0
バフェットの哲学を学ぶのに最適です,
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レビュー対象商品: バフェットからの手紙 - 「経営者」「起業家」「就職希望者」のバイブル (単行本)
ご存知の通り、ウォーレン・バフェットは本は執筆していません。しかしながらこの本は、バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイ社の投資家に向けバフェットが綴った手紙をまとめたものです。すなわち直接この本を執筆したわけではないとはいえ、ある意味ではバフェットの言葉で書かれた、唯一の本であると言えます。
内容は株式投資初心者には若干困難な部分もありますが、腰をすえて読むことによって、バフェットの投資哲学が自然と理解できるようになります。また、その法則は時代・業態に関わらず不変の物であると言えます。 株式投資の勉強だけでなく、企業経営者やビジネスマンにもお勧めしたい一冊です。また、「株主重視の経営を」といわれ始めた日本にとって、まさに時代にもマッチした本であると思います。
35 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
哲学が大事,
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レビュー対象商品: バフェットからの手紙 - 「経営者」「起業家」「就職希望者」のバイブル (単行本)
恥かしながらウォーレンバフェットという人物をよく知らなかった。「世界一の投資家」だの「ビルゲイツに次ぐ大富豪」だのと言われていたので、てっきり金融工学などを駆使して短期に利益を稼ぐ人物だと思っていた。ところが彼の哲学は凡そ自分の想像していたものとは全く正反対だった。その投資哲学は極めて本質的であり、オーソドックスであるとすらいえる。つまり「成長する企業に投資する」この一点だ。例えば彼が本文中で述べている買収の条件にその哲学が端的に現れていると思う。(特に2~5) 1大きな買収(税引後の収益が少なくとも1000万ドル) 2一貫した収益力の証明(将来予測はほとんど重要ではない) 3負債がわずかあるいは全く用いないで高い収益を上げる企業 4経営陣が定着している事(経営陣は入れ替えない) 5単純な企業 6価格が提示される事(仮定の話はしない) また「株価」というものはは常に企業の成長と一致している事が望ましいと述べ、自身の経営するバークシャーハサウェイの株価ですら実態以上に株高になる事を望んでいないし、単に売却益だけを狙う短期投資家の存在にも否定的である。 この他にも「企業価値」や「ストックオプション」などについて氏自身の考えを明確に述べており、単に投資家としてのバフェットというより経営者としての考えが窺える。(実際この本はバークシャー社の株主に対する手紙なのだが当たり前だが) これからも読み返すごとに新たな発見ができそうな一冊である。
35 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
いわゆる”良書”,
By 橋虎 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: バフェットからの手紙 - 「経営者」「起業家」「就職希望者」のバイブル (単行本)
私は”良書”を「読み終わったら関連する他の本も読みたくなる本」と定義している。この本はまさに「良書」。この本から多くの示唆を得たが何よりも会計(学)の基本書をもう一度しっかりと読み込む必要性を痛感した。但し、翻訳文の硬さもさることながら最低限の会計(学)、企業分析、株取引に関連する知識がないとこの本を通読し、吸収するのは辛いかもしれない。自分もこれらの知識をブラッシュアップしてから再度、この本にあたったみたい。
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