続発する少年犯罪は現代においてもはや遠い世界のできごとではありえず、不快感なしにこの作品を読み進めることは不可能に近い。その意味で、本作品がさる文学賞の選考会で委員から徹底的に否定されたことはうなずける。だが、反社会性というマイナスを補って余りある魅力が、たしかにこの作品にはある。たとえば少年たちの多くは大人や社会に対して名状しがたい嫌悪感を抱く存在として描かれている。その一方で、ある者は絶望的状況を打開すべく全力を尽くし、ある者は深く秘めた恋に身を焦がして、読み手の心を締めつけずにおけない。不条理に直面してもなお人を、未来を信じたいという彼らの思いは、そのまま著者からのメッセージでもあろう。
表現の稚拙さは時折目につくが、スピード感ある筆致にはただただ驚かされる。ストーリー運びの巧みさは非凡だ。加えて、最も高く評価したいのは、中学生たちの心理描写に横溢(おういつ)するユーモアだろう。その脳天気さと過剰ぶりは殺し合いという極限状態に置かれた中学生の心理としてはやや不自然だが、身もふたもない物語を第一級のエンターテイメントたらしめているのは、まさにこのたぐい稀なユーモアセンスなのである。前途有望な作家の手腕に心から敬意を表したい。(西村 匠)
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さらに中高生の心を掴んだのは、人物個々に与えられた少しずつのエピソードだろう。作品全体にわたって散りばめられている為に自分と良く似た、あるいは自分の理想な、自分の周りにいるような、人物に接することでさらに引き込まれたのだと思う。そうでなければここまでの現象を引き起こさなかっただろう。
ただ映画は時間内に収めようとしていて、原作に感動した僕には商業的な犠牲になっていた気がした。
高見さんの次作に期待したい。
是非、中高生は読むべきだと思う。
『教室』いう空間にいるうちに読んで欲しい本だ。
私が思うに、この本は『青春』のおもな構成要素である『恋愛』と『友情』を比類ないほどに描ききっている。
これは本作のイメージからは矛盾しているように思われるけれども、そうではないのだ。
その二つを表すのに『サバイバル』ほど適したものはないのではないだろうか。
『蝿の王』や『漂流教室』などでもそうだが、極限状態にこそ人の深層心理は顕在化してしまうものだ。
貴方には、死を賭してまで助けられる人間がいるか?
安心して背中を預けられる友はいるか?
誤解を恐れず敢えて言うなら『恋』と『友情』を描くためにこの作品では『殺し合い』をさせた、否、『殺し合い』をさせねばならなかった。
そう思わせるほどの何かがこの作品はある。
作者のデビュー作だけに、文章も少々稚拙であり、登場人物も中学生の一クラスに100m10秒台が三人もいたりするタレントの多さには多少リアリティの欠如が見受けられるが、読んでいるうちにそんなものはどうでも良く思えるはずだ。
読んだあとしばらくは登場人物の数々の台詞が頭から離れない。
参考までに私の頭から今も離れない台詞を一つ(?)
『どうか生きて。喋って、考えて、行動して時々音楽を聴いたり――絵を見たりして、感動して。よく笑って、たまには涙も流して。』
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