このCDに収められている演奏の翌日、2008年1月31日に、録音と同じ会場(松本市の音楽文化ホール)で、同曲の全曲演奏会を聴きました。前口上で小林さんが古楽器のハーモニーやテンポについて語られていました。「古楽器の管楽器と弦楽器は、現代楽器のそれよりも、もっと溶けるように混ざり合う」、「当時の1番早い乗り物は郵便馬車だから、バディネリのスピード感は当時では最速の音楽」と。その当時はバッハにさほど興味のなかった私ですが、小林さんの解説に導かれるままに、目の前の素敵な演奏にのめり込んでしまい、この日を境にカラフルでチャーミングな『管弦楽組曲』の虜になってしまいました。小林さんが前口上で「覚悟してください。今日は全部繰り返しますよ」と宣言されていたとおり、メヌエットやガヴォットなど T、 Uの並びの曲が、全部 T、 U、 T、 Uと繰り返されており、息の長い演奏となっています。この演奏会は、生涯でもっとも感動的な演奏会の1つだったと思います。星4つなのは、同じ年に同ホールでラ・プティット・バンドの『管弦楽組曲』第3番を聴くという幸運に巡り会ってしまったからです。世界最高峰の古楽器アンサンブルが奏でるバッハは、それはもう素晴らしかったです。小林さんがおっしゃったように管弦楽は溶け合っていますし、スピード感はオシャレにゆっくりめ。あえてティンパニを置かないで、管楽器と弦楽器の相性の良さを聴かせる演奏で、会場で売っていたCDを即買いし、さらにクイケン氏にサインまでいただきました。CD同士聴き比べても、ラ・プティット・バンドのほうが私は好きなのです。というわけで、ラ・プティット・バンドの録音が私の中の第1位であり、次点にこの松本バッハ祝祭アンサンブルで星4つなのです。