バッハのヴァイオリン協奏曲集といえば、ヴァイオリン協奏曲第1番・同第2番と2つのヴァイオリンのための協奏曲の3曲を収録ということが多いが、本作はチェンバロ協奏曲へ短調から復元されたヴァイオリン協奏曲ト短調と2台のチェンバロのための協奏曲ハ短調から復元されたオーボエとヴァイオリンのための協奏曲ニ短調つきで、さながらバッハのヴァイオリン協奏曲づくし。全録音時間が約73分と大変お得な1枚だ。
バッハはヴァイオリン協奏曲をチェンバロ協奏曲にトランスクリプトすることが多かったため、このように原曲は失われても研究の結果復元可能で、復元されたものもBWV番号が付いている。
演奏はどれも古楽器演奏のパイオニア・アーノンクールの名声に適った名演。私はクイケン、ホグウッドと本作、3枚のバッハ・ヴァイオリン協奏曲集を持っており、聴き比べを楽しんでいる。何れも優れていると思うが、アーノンクール夫人がヴァイオリンを演奏する本作が、のびやかさの点では一番勝っていると思う。ト短調協奏曲第2楽章ラルゴがその美点の例。
60〜70年代の録音だが、デジタル・リマスタリングされており、古さは皆無で音質良好。お薦めです。