1983年のデジタル録音で音質もよく、バッハ当時の楽器(またはその複製)を用いた、優れた演奏です。
少人数、おそらく10人前後による演奏です。
同曲の古楽器による演奏では、
レオンハルト盤 がとにかくビッグネーム揃いで別格という印象ですが、こちらものびのびしていて良い演奏だと思います。
「今の楽器の方が優れているのに、なんでわざわざ昔の楽器を使うの?」
かつての私もやはりそんな風に思っていたのですが、そんな私がオリジナル楽器による演奏に改心したディスクです。
例えば有名な第5番を例にとると、この曲はチェンバロ、フルート、独奏ヴァイオリンの三者の音量が同じくらいにポリフォニーとして響き、しかも全体合奏とも調和するように作曲されています。
しかし現代楽器による大編成の演奏だと、フルート、ヴァイオリンの音がチェンバロより大きすぎてバランスが悪く、またオケの全体合奏になるとチェンバロの音がかき消されてしまいます。
古楽器による小編成の演奏では音量のバランスが取れており、全体合奏でもちゃんとチェンバロが聴こえます。
またコープマン自身によるチェンバロ独奏の暴走ぶりが圧巻で、この曲のチェンバロでは、この演奏を超えるものはないのではないでしょうか。
第2番のトランペットとリコーダーも、現代楽器ではトランペットがリコーダーをかき消してしまいますが、古楽器では両者の音量はそれほど変わりなく、アンサンブルとして調和しています。
第3番の第二楽章は、バッハ自身は終止の二音しか書いていないので、省かれる演奏が多いですが、当時はここで即興演奏が行われたと考えられており、このディスクではバッハの他の作品(トッカータ)が演奏されています。
(余談ですが、イ・ムジチなどは楽譜に忠実にただ二音だけしか弾いていないようで、楽譜に忠実すぎる悪い例です。北村薫の小説『覆面作家』のネタにもなっています)