“グレン・グールド”の名が日本で一般的に広く知れ渡るようになったのは、
実は最晩年に録音されたゴールドベルク変奏曲’81年盤が発売された頃、
つまりグールドの死後だったと記憶しています。
同じくこの’55年盤が彼のバッハデビュー盤であったというのは、
なんという運命のいたずらだったのでしょう・・・
グールドが22歳にして録音し、全米ヒットチャート1位となったこの作品は、
モノラルという大きなハンディキャップを背負いながらも、
今でも瑞々しい輝きを保ち続けています。
グールドの見事な指さばきによりハイテンポで一気に弾かれてゆく
この“睡眠導入のための音楽”により、逆にアドレナリンの分泌が亢進し、
皮肉にも頭がどんどん冴えわたってきてしまいます。
’81年盤と大きく異なるのはこの点で、決してBGMにはなり得ない凄味まで感じます。