「ドイツ・シャルプラッテン」レーベルの『クリスマス・オラトリオ』を21世紀になって聴くことができるとは驚きです。
このアルバムのプロデューサーの清勝也氏が、リーフレットのインタビューで述べていますが、東ドイツ時代の国営レコード会社が「ドイツ・シャルプラッテン」で、当時結構音楽マニアに好まれた渋いレーベルです。
1975年から76年にかけて、ドレスデン・ルカ教会で録音されたオープンリールテープを新しいマスタリングの綺麗な音でCD化されたとのこと。音の状態は決して悪くありませんので。
巨匠マルティン・フレーミヒの指揮ですし、テノールで福音史家がペーター・シュライヤー、バス=バリトンがテオ・アダム、ソプラノがアーリーン・オジェーという豪華なソリストでした。アルトのアンネリース・ブルマイスターは知りませんが、深い声質でしっかりと歌える歌手でした。
エヴァンゲリストのペーター・シュライヤーは本当に巧いですね。千両役者のようです。テオ・アダムの深い声も実に良く響いており見事でした。
合唱は800年の歴史を誇るドレスデン十字架合唱団(ソリストのペーター・シュライヤーやテオ・アダムもここの出身)、そしてドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏ですから、評判になっても良いと思われるのですが、何しろ録音されてから30年以上陽の目を見なかった演奏ですし、ソリストも複数鬼籍に入られていることを考えて見ると登場した時期は遅かったのでしょう。
当方は、20年ほど前にステージで全曲を歌ったわけですが、確かに荘厳で厳格なバッハは今の解釈とは少し違うかもしれませんが、ドイツのバッハ演奏の伝統が個々に感じることができると思っています。
良く知られているように、バッハは他の自作カンタータなどからメロディやハーモニーを借用して歌詞に合わせていますので、他の宗教曲のような劇的な雰囲気は漂っていません。6部に分かれていますので、6つのカンタータの集合体として見た方がしっくりとくるでしょう。
本作品は、バッハが49歳の1734年に作曲され、その年のクリスマスに演奏されました。作曲家として一番充実していた年代の作品だということです。