現在進行中のバッハ・コレギウム・ジャパンによるカンタータ全集の第20巻。ライプツィヒ時代のカンタータである184番「待ち焦がれし喜びの光」、173番「高く挙げられし血肉よ」、59番「私を愛する者は、私の言葉を守る」、44番「彼らはお前たちを追放し」が収録されている。前の三つはクリスマス週間用のカンタータで、明るく喜ばしい雰囲気に満ちている。
184番での野々下(S)と波多野(A)の二重唱が何より聴きものだ。二人の歌声がきれいに溶け合っていて、天国的な響きを醸し出している。ソリストだけを論じるなら他にも優れた録音は沢山あるだろうが、これだけ美しい響きの二重唱は貴重なのではないか。BCJでは他には米良と櫻田、パーションとブレイズの二重唱という素晴らしい録音がある。
これまで起用されてきたソプラノの鈴木美登里や柳沢亜紀は、線が細めで少年少女のような無垢で純粋な響きだが(もちろん、それはそれで魅力がある)、野々下の歌声はとても豊かで高音域もゆとりがあり成熟した響きをしている。波多野の歌声はしっとりとして暗すぎず、何気ない歌い回しに感情の揺れ動きが垣間見えるところなど、非常に巧い。テュルク(T)とコーイ(B)のいつもの手堅い歌唱も合わせ、ソリストは総じて高い水準にあり、安心して誰にでも勧めることが出来る。