現在進行中のバッハ・コレギウム・ジャパンによるカンタータ全集の第9巻。ライプツィヒ時代のカンタータ、76番「天は神の栄光を語る」、24番「飾りなき心」、167番「人々よ、神の愛をたたえよ」が収録されている。ソリストは鈴木美登里(S)、ロビン・ブレイズ(CT)、ゲルト・テュルク(T)、浦野智行(B)。米良が去った後、BCJの看板カウンターテノールとなったブレイズのBCJ録音初参加が当盤である。
ブレイズはよく通るクリスタルな声質で、高音の抜けが良く爽快感がある。24番の軽快な3拍子の冒頭アリアの優しくしなやかな響きが耳に心地良い。浦野は軽い声質で滑らかに歌っているが、76番のアリアでは高音域の線の細い響きがやや頼りない雰囲気をもたらしてしまうのが勿体無い。低音域も重量感は十分ではないが実直な響きには素朴な良さがあり、言葉を丁寧に扱った歌唱は好感が持てる。鈴木の涼しげで曇りのない歌唱は清々しく、テュルクは76番の非常に技巧的なアリアもゆとりを持って歌っており、説得力を持たせている。
通奏低音の存在感がはっきりとしていて重心が低く彫りの深いオーケストラの音色と、奥行きと広がりをもつ柔らかな響きの合唱が、実に上品にからんでいる。鈴木雅明の指揮は、曲それぞれのリズムの面白さを十分に伝えてくれている。